構造を超えて／音楽は自由にする - 地下生活者の日記

ユリイカの臨時増刊号「総特集 坂本龍一」が、非常に充実した内容で刺激的でした。シャープな論考、アーカイブとしての価値、数々の美しい掲載写真。新旧問わず全坂本ファン必読の内容に仕上がっているかと。 個人的には、佐々木敦さんによる教授への最新インタビュー、大谷能生さんによる80年代坂本論「「音楽の毒」の構造化について」や、久保田晃弘さんによる00年代のエレクトロニカ・コラボレーション論が、とりわけ興味深かったです。 中でも、佐々木さんとの対談の中では、作品の構成・構造化について突っ込んだやりとりが交わされています。ジョン・ケージが五線譜を使っていたということからも、「ある決まった時間の長さを分割していくか、どう起承転結をつけるかということに、あれほど全てを捨て去ったジョン・ケージでさえ最後まで執着したのは構造だった」と語る教授。それに対して、今の教授は「その時間的構造からさえも自由になりたい」