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156 人文・自然研究 第 3 号 1．はじめに 本論は戦後から 1970 年代までの日本における産学連携政策を，その後 の政策との比較のうえで「前史」と捉えて，70 年に制度化された「受託 研究」の政策過程に着目して，その時期の産学連携政策に関する文部省の 姿勢を明らかにするとともに，政策過程モデルの一つである漸増主義を検 討することによって，政策過程研究の方法論上の展開を課題とする （1） ． 産学連携についての先行研究の多くは，その慣行や制度の紹介，実践上 の課題の提示，あるいは，大学自治や研究の自主性の擁護の立場からの批 判的検討を行うものである．70 年代までの時期の産学連携については， 小田切（1994） ，小林（1998） ，Hashimoto（1999） ，宮田（2002） ，西村（2003） ， 田口（2003）によって次のように特徴が指摘されてきた．戦後しばらく， 産業

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『「受託研究」の政策過程 : 産学連携前史における漸増主義による慣行の制度化』（二宮祐、一橋大学 人文・自然研究 3, 156-176, 2009）　＊PDF