デビューしたての椎名林檎がエッセイに「満員電車の沈黙が嫌で、あたしは車内で即興の歌を歌った。大声で。」などと書いていて、 私は「ああ、これは嘘だな。彼女は実際にはそうしていないだろう。でも、彼女はここにそう書くことで、実際にある日の電車内でそうする以上の効果を得ているな」と思った。 私はデビューしたての椎名林檎のように「満員電車で大声で歌う」なんてパフォーマンスをしたいわけでは全然ないが、 昔これを読んで 「うわー絶対やってねえよコイツ（でも、言葉で書くことで虚構を現実に定着させるというのは上手いやり方だ

デビューしたての椎名林檎がエッセイに「満員電車の沈黙が嫌で、あたしは車内で即興の歌を歌った。大声で。」などと書いていて、 私は「ああ、これは嘘だな。彼女は実際にはそうしていないだろう。でも、彼女はここにそう書くことで、実際にある日の電車内でそうする以上の効果を得ているな」と思った。 私はデビューしたての椎名林檎のように「満員電車で大声で歌う」なんてパフォーマンスをしたいわけでは全然ないが、 昔これを読んで 「うわー絶対やってねえよコイツ（でも、言葉で書くことで虚構を現実に定着させるというのは上手いやり方だ）」 と感心したあの感じを、「詩」的としか形容できない。

[shimomurayoshiko]

『「やってるわけ無ぇ」←→「だが定着の、」』は表現者の「文体の強化」なのでは。例えばインタビューでは「実際」的に応うより「実際」を元手に盛って××志望者らの文体に自分を撒種したほうが得、とか。

[highcampus]

"ああ、これは嘘だな。彼女は実際にはそうしていないだろう。でも、彼女はここにそう書くことで、実際にある日の電車内でそうする以上の効果を得ているな"