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『ファントマ幻想―30年代パリのメディアと芸術家たち』(青土社) - 著者:千葉 文夫 - 堀江 敏幸による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
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世界恐慌とファシズムの影が忍び寄るシュルレアリズム分裂直後の30年代パリ。大衆小説から生まれて映画... 世界恐慌とファシズムの影が忍び寄るシュルレアリズム分裂直後の30年代パリ。大衆小説から生まれて映画化され、アヴァンギャルドたちを熱狂させた変幻自在の犯罪王ファントマを草創期のラジオ… 世界恐慌とファシズムの影が忍び寄るシュルレアリズム分裂直後の30年代パリ。大衆小説から生まれて映画化され、アヴァンギャルドたちを熱狂させた変幻自在の犯罪王ファントマを草創期のラジオ放送が取り上げた。番組を作ったのは四人の芸術家。ナチを逃れ渡米途中のクルト・ワイル、旅を経て精神病院に入るアルトー、強制収容所で死ぬことになるデスノス、キューバからの亡命者カルペンチエール。マスメディアとディアスポラの世紀の本番が始まる。メディアの世紀を覆う影。 電波のように遍在する幻本書はその副題が示すとおり、一九三〇年代のパリで離合集散を繰り返した芸術家たちの横顔に、メディアとの関わりを通じて光をあてた、刺激的な文化史である。
2021/09/06 リンク