『通信３－７ 時の上に記された詩』

久々に夜を通して雨は振り続きその空の昏さに私は朝の訪れも知らずひたすらまどろんだ。それが良い夢かあるいは悪いものか判断もつかないまま突然強まった雨音に促されたように寝床を出る。 詩人、井上瑞貴さんが「追記、あるいは開かれた窓」「十一月の白さは、その白さに尋ねなければならない 」という二つの記事で、私の雑文に触れてくれた事に深い謝意を示しつつ同時に「何を今更」という感想を持った事を記しておく。 私は、井上さんがその詩作において窓を閉じていたところを一度も見た事が無い。まだ若かった私たちは夜な夜な一所に集まり、悪い相談でもするかのように濃密な時を過ごした。その折々で私は彼が詩の朗読をするのを何度も耳にしているが、その朗読の仕方は、その後私がさまざまなところで聴いたどんな詩人の朗読とも違っていた。殆どの、朗読する詩人はその時俳優となっている。かなり有名な詩人から、果てはそれらしくなりたいと思って