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涙なくしては語れない思い出
お褒めに預かったところで私の思い出話を聞いて欲しい。別にしんみりした話じゃない。笑い話だ。 それは... お褒めに預かったところで私の思い出話を聞いて欲しい。別にしんみりした話じゃない。笑い話だ。 それは私がまだ10代のみぎり、今よりも5kgは確実に軽かったころのことだ。そのころの私は工業系の学部だったこともあって、いつもジーパンスニーカーTシャツな服装だった。NO化粧だった。若かったのだ。 ある日私は、いつもは乗らない女性専用車両に乗った。階段を上がったすぐのところが女性専用車両の乗り口で、その時はたまたま時間的にギリギリだったので飛び乗るしかなかったのだ。やっぱり女性専用車両は華やかだなあ、などと思いながら私はドアに凭れながら本を読んでいた。そしたら次の駅でそのドアが開いて、快速の待ち合わせでちょっと長々と止まったのだ。したらばホームにいた駅員さんが近づいてきて、こう言った。 「お客様申し訳ありません。こちら女性専用車両となっていまして」 私は「あの…私……」と口ごもった。「私女です」って
2007/09/21 リンク