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長い、長い、最後の1ヶ月
三十を過ぎて少し腹が目立つようになってきた。これではまずいと近所のジムに通い出したのだが、そこで... 三十を過ぎて少し腹が目立つようになってきた。これではまずいと近所のジムに通い出したのだが、そこである男性と知り合った。かつてのオリンピック強化選手であった彼は、こんな興味深い話を聞かせてくれた。 * * * その男はこの日、妻に離婚を切り出した。 「別れてほしい」 深く長い溜め息のようなその言葉には、長年の不貞による疲弊しかなかった。妻は男から目をそらし、肩を震わせている。男にはそれが同情を買う行為にしか見えず、妻のそのあきらめの悪さに怒りすら覚えた。 早く終わらせたい。脳裏にジュネの顔が浮かぶ。妻よりも、いや男よりも十歳近く若いその女との新生活はもうすぐそこなのに……。 苛立つ男の口調は厳しいものとなり、ついに妻はヒステリックな声を上げた。会話は堂々巡りを始め、冷え切ったディナーは彼らの胃に収まることはなかった。話をさえぎり涙を溜めながら寝室に駆けこむ妻を、男は不思議そうに見つめた。 あ
2012/05/05 リンク