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亀山郁夫『ドストエフスキー 謎とちから』(文春新書) - origenesの日記
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亀山郁夫『ドストエフスキー 謎とちから』(文春新書) - origenesの日記
ドストエフスキーを「堕落した父」「二枚舌」「正教からの分離派」「異端派」(「鞭身派」「去勢派」)... ドストエフスキーを「堕落した父」「二枚舌」「正教からの分離派」「異端派」(「鞭身派」「去勢派」)といったキーワードを通じて読み直した本である。江川卓の『謎とき』シリーズを意識して書かれているが、「スメルジャコフの本当の父親は誰か」など江川と異なった著者独自の見解もふんだんに盛り込まれている。著者は当時のロシアで流行っていたキリスト教の異端派の「去勢派」に目をつけ、イエスやその弟子たちは全て去勢されていたと説くこの派からドストエフスキーが影響を受けていたということを論じる。清らかさを重んじる『カラマーゾフの兄弟』を去勢派のイデオロギーとの関連の中で読み直す箇所はスリリングである。スメルジャコフの思考に去勢派からの影響が見受けられることを論じた箇所は説得力があった。もしかすると、アリョーシャ・カラマーゾフが理想としていたのは、性欲が消え、男女が兄と妹のように暮らすことのできる、去勢派の楽園のよ