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三宅香帆「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」 労働観の改革、「ノイズ」が鍵|好書好日
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三宅香帆「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」 労働観の改革、「ノイズ」が鍵|好書好日
子どものころから本が大好きな文学少女は、好きな本をたくさん買うために就職した――はずが、待っていた... 子どものころから本が大好きな文学少女は、好きな本をたくさん買うために就職した――はずが、待っていたのは「労働のせいで本が読めない!」という現実だった。その体験をもとに、タイトルの「なぜ」を深掘りしたのが本書だ。 最初の答えとして、日本に根付く長時間労働がある。しかし、日本で本が右肩上がりに売れた昭和後期は、エコノミックアニマルと呼ばれた日本人が、全力で長時間労働にいそしんだ時代でもある。ゆえにこれは理由の全部ではない。 次に著者は問いの方向を転換する。長時間労働で疲弊する中、本は読めなくても、インターネットにはハマってしまう。なぜ? 答えは、ネットでは「求めている情報だけを、ノイズが除去された状態で、読むことができる」から。対して、読書の特性とは「世界のアンコントローラブルなものを知る」こと。昔は読書による知識の吸収が成功するために必要とされていたが、今では、その知識が情報を濁らせるノイズ