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『あるようなないような (中公文庫 か 57-3)』(川上弘美)の感想(83レビュー) - ブクログ
タイトルのようにふわりとしてそれでいて濃い、印象的なエッセイでした。まるで、そこにあるかのように... タイトルのようにふわりとしてそれでいて濃い、印象的なエッセイでした。まるで、そこにあるかのように目の前に情景がうかびました。 例えば、地下鉄の広尾の駅を上がったところに見える「逃げ森」のお話とか。本当に目の前に緑の木々が広がり、都会の空気を感じることができました。 そして、11月になると散歩に行きたくなるお話。井の頭公園での場面。小学生の鼓笛隊のお話。鉄腕アトムを演奏する楽器の音が聞こえてきそう。あったな自分もそういう、目にしたけど語らないこと。なんてことない日常なのだけど。その風景は見る人によって、希望に満ちてはつらつしたものにも、もの悲しくも、ざわざわにも映る。どのようにもとれるありのままの描写に心はまりました。 いきなり「ぶはっ!」と笑えることろも沢山あった。 これはきっと笑わせようとされているのでなく、笑えてしまうのだ。 「魚の顔」「不明」「小説を書きはじめたころ」、このあたり、と
2012/02/29 リンク