「成績のいい先輩と悪い先輩の違いは顕著でした」トヨタ営業職から転身した温泉女将が見極める“お客様のニーズ” | 文春オンライン

いま、全国の温泉旅館は感染対策を施しながら、新たな「おもてなし」を模索している。その最前線に立ち続けているのが、各地の“女将”たちだ。 長年温泉旅館を取材し、『女将は見た 温泉旅館の表と裏』（文春文庫）などの著書でも知られる山崎まゆみ氏が、そんな女将たちの“とっておきの仕事術”を紹介する。 ◆ ◆ ◆ 神奈川県湯河原温泉は、万葉集にも出てくる歴史ある関東の奥座敷。小ぶりな温泉街だが、100本もの源泉を有しており、湯量は豊富。お湯は手の平で転がすと、とろとろ。躍るように生き生きしていて、化粧水のような肌触りだ。 そんな湯河原で旅館の娘として生まれ育ち、3代目の女将として継承したのが「おんやど惠」の室伏ゆかりさん。一度、家（旅館）を出て会社勤めをした経験が、今のもてなしの根幹となっている。 トヨタで営業職の経験 室伏さんは20歳からの3年間、神奈川トヨタ自動車大井松田店（現・トヨタモビリティ神