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ミステリー作家・殊能将之氏の訃報に思う | AERA dot. (アエラドット)
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「論理のアクロバット」が好きです。 今まで見ていた世界が、ラストでグルリと見え方が変わるような感覚... 「論理のアクロバット」が好きです。 今まで見ていた世界が、ラストでグルリと見え方が変わるような感覚を与えられるロジックの綱渡り。 その感覚が欲しくてミステリを読んでいます。 たとえばフレドリック・ブラウンの『叫べ、沈黙よ』。 「森で木が倒れるとき、すごい音がする。だが、誰も聞く者がないところで木が倒れてもそれは音がしたと言えるのか」という問いかけからこの短編は始まります。 ある男の妻と使用人がコンクリートの燻製室に閉じこめられて死んだ。 妻の弟は、男が二人が浮気していると思ってわざと閉じこめて殺したんだと言いはっている。 ところが男は耳が聞こえなかったから、妻と使用人が閉じこめられていることに気づかなかったと言う。その言い分が公的には認められて、男は罪には問われなかった。 扉の向こうで妻が必死で助けを求めている声も、耳の聞こえない男しか住んでいない家では、無音と同じだったのだ。 ところがー