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昭和9年(1934)、四条小橋を南に少し下がった路地に、 西洋の街角で見かけるような、いきな喫茶店フラ... 昭和9年(1934)、四条小橋を南に少し下がった路地に、 西洋の街角で見かけるような、いきな喫茶店フランソアが開店、クラシック音楽とコーヒーの好きな若者を喜ばせた。 立野正一、高木四郎、イタリア人のベンチベニら若い芸術家仲間が設計、 ステンドグラスの窓、優雅な白い天井、赤いビロードの椅子、壁にかけられた「モナ・リザ」の複製など、 当初からサロン風の贅沢な喫茶店であった。 もっともオーナー立野の本当の意図はもっと高いところにあった。 戦時色が深まり自由な言論が困難になっていく時代に抗して、 反戦や前衛的な芸術を議論する場として、このフランソアを提供しようとしたのだった。 当時、先鋭な論調で知られた『土曜新聞』なども、ここに来ればいつでも手に入った。 寄稿者の多くがフランソアの常連だったのだ。 「野にすみれが自由に咲く時代である」と語りかけるその主張に、啓発され勇気づけられた若者も少なくなかっ
2012/08/31 リンク