山に暮らせば

なだらかな坂道を登っていると正面からオニヤンマが飛んできた。左手に持っていたカメラで顔に当たるのを避けようとした。トンボはカメラに激突、左足下に落ちた。気を失ったのだろうと手にしていたが5分経っても動かなかった。トンボの持ち方は子供の頃から知っていた。左手の指に挟んで持ち歩いた。 帽子に乗せておけば虫除けになると手製のオニヤンマを売っている。塾の人に手づくりのトンボをもらってつけていたが、申し訳ないことに行方不明になった。代わりに本物のトンボを帽子につけることにした。 木陰に入ればほてった身体に心地良い風が吹く。5時を回われればさらに優しい風になる。贅沢な花の散歩コースで東回りにすれば稲刈りの始まった稲田が広がる。最初に合うのがイワレンゲ。道ばたに咲くので草刈りで切られるが、残った株は円錐状の花茎を伸ばし始めた。田んぼが見えなくなる峠にはシラヒゲソウが帯になって咲く。まだ蕾のトリカブト、ツ