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首切り職人の顛末 - 傘をひらいて、空を
僕が行くのはつぶれかけた会社だ。人の首を切ったりすげ替えたりして企業を生き延びさせてカネをもらう... 僕が行くのはつぶれかけた会社だ。人の首を切ったりすげ替えたりして企業を生き延びさせてカネをもらう。正確には僕の会社がそのような役割を標榜して僕を送り込み、僕は自分の役割を遂行する。送り込まれた会社は要するに先が長くないと宣告されたようなものだ。だから僕は誰にも歓迎されない。僕を呼んだ人間だってほんとうは僕に来てほしくなんかない。客先に行ってまともな席がなくても僕はうろたえない。椅子はありますかと尋ねる。つまり、椅子のような何かでかまわないのですが。 たとえば会議室の隅が僕に割り当てられる。非公式に、対面した泥棒にホールドアップの小銭を与えるみたいに。僕はひとりで長机の脚を立て、パイプ椅子を引き、その上にからだをおさめ、ノートPCを起動する。このビルの中で、誰も僕を必要としていない。いつものことだ。白い目に囲まれて誰かの首を切り新しい図面を引いて組織を塗り替えるのが僕の仕事だった。崖っぷちの
2018/04/10 リンク