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世界全体があなたを愛する楽園 - 村田沙耶香「消滅世界」 - 未翻訳ブックレビュー
「LGBTは子どもを産まないため生産性がなく、彼らに税金を投入するのはおかしい」という主旨の寄稿をし... 「LGBTは子どもを産まないため生産性がなく、彼らに税金を投入するのはおかしい」という主旨の寄稿をした国会議員がいた。 この意見は差別だし真っ当な反論は各所でされている。でも、その議員には別の質問もしてみたい。もし次のように訊いたら、なんと答えるだろう。 「たしかにLGBTって生産性がないですよね。でも、ヘテロの男女家族も、生産性低くないですか?だから、人工授精の研究を進めて、家族とか結婚とか関係なく子どもが生まれる、生産性の高い社会を目指しませんか?」 村田沙耶香の小説「消滅世界」は、そんな「高い生産性」が実現した社会の物語である。2018年の7月に文庫化されて読んだらめちゃくちゃ面白かったので、これは同書の紹介と、考えたことについての記事。 目次 繁殖が性愛と分離した社会 家族は無数にある動物の繁殖システムのひとつ 奴隷の幸福と失楽園 世界全体から愛されなくてもいい自由 繁殖が性愛と分
2018/08/09 リンク