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「緑色の坂の道」vol.5295
まだ新しき墓場。 ■ 佐々木喜善の「縁女綺聞」を確認してみると、そこには柳田が書いた「山臥」という... まだ新しき墓場。 ■ 佐々木喜善の「縁女綺聞」を確認してみると、そこには柳田が書いた「山臥」という単語はない。山臥とは修験者のことである。普段は里で生活するのが常だった。 また時期的にも一年の後ということではなく、其の年の5月(と佐々木は記している)に大海嘯があり、そのあと7月の新盆の頃だと書かれている。 仮葬式をした後、まだ新しき墓場の辺りを歩いていて、死んだとされていた女房に出くわす。 生々しい話ではあるが、明治29年といえば夜の暗さも分かるだろう。 ■ 昭和5年というと「遠野物語」の改版本が出る以前。 佐々木は何をしていたかといえば故郷の遠野を去り、仙台に家族ぐるみで移転していた。翌6年、極貧のなかで長女が死亡する。