日常生活に降り注ぐ「男だから」「女だから」 | | 本田由紀 | 毎日新聞「政治プレミア」

日本のジェンダー不平等の大きさが非常に問題視されるようになってきている。企業に男女間賃金格差の情報の公開を求める政策も動いている。 ただ、気になるのは、単に男女間賃金格差だけを公開しても、「それは女性が無能だから」「それは女性が責任ある仕事をしたがらないから」などの解釈で片付けられてしまえば、まったく是正にはつながらないということだ。 日本における女性の賃金の低さや、職種・専攻分野などの著しい偏りが、なぜ・いかにして生じているかを、データに基づいて詳細に解明する必要がある。 職業間の賃金格差に表れる女性差別 この課題に対して、研究者たちはすでに懸命な努力を傾けてきた。たとえば賃金に関しては、個々の職業に必要とされる学歴や各種のスキルの水準の影響を取り除いても、女性が多い職業は女性が多いというだけで求人賃金の額が低いことが明らかにされている（注1）。 すなわち、特に日本では、女性は看護師や保