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〈綺想異風派〉――80年代/90年代の音楽批評を分かつもの|後藤護
ようするに〈マニエリスム〉のあるやなしや、である。 以下の引用が80年代地下音楽宣言の精華といってい... ようするに〈マニエリスム〉のあるやなしや、である。 以下の引用が80年代地下音楽宣言の精華といっていい。 阿木譲「雑種と綺想異風派音楽」 境界領域が曖昧な80年代音楽は、歪曲的、超現実的、抽象的で、霊感と感情だけをたよりにマニエリスム世界を表現する。それらの誰とも、どっちともつかぬハイブリッドな《歪曲された遠近法》の中の迷宮世界は、拡大された微粒子間の隙間(空白)のように、ただ無感覚なものだ。 死という鏡と隣り合わせにあるヨーロッパは、再びゴチック・ロマンスやニュー・ロマンティックスを謳うことによって、中世の幻想の森に踏みこんでいる。その不可視の神の世界は我々の凸凹した精神のように、綺想異風な出で立ちで、すでに原子核分裂の放射能をうけたかのような症状を呈している。 しかし、暗い。 そしてとっくに狂いだしている。 雑種=それは多過ぎるゆえの詭弁。概念のニュー・モード。自己のサブジェクトへの信
2020/06/24 リンク