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國分功一郎の『中動態の世界』(医学書院、2017年)の核心的アイデア|山口尚
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國分功一郎の『中動態の世界』(医学書院、2017年)の核心的アイデア|山口尚
國分功一郎の『中動態の世界』(医学書院、2017年)は比較的よく知られた哲学書であると思う(いつかの... 國分功一郎の『中動態の世界』(医学書院、2017年)は比較的よく知られた哲学書であると思う(いつかの紀伊国屋じんぶん大賞になったはずだ)。この本の目標のひとつは言語への反省を通じて「行為」概念を捉え直すことであり、そこでは古代ギリシア語やラテン語をめぐる「考古学的」議論などが展開される。とはいえ――今から述べるように――本書のそもそもの動機は相当に実践的である。 この本の探究の動機のひとつはプロローグで語られるのだが、そこでは依存症をめぐる次のような対話が紹介されている。 「しっかりとした意志をもって、努力して、『もう二度とクスリはやらないようにする』って思っているとやめられない」 ――そこがとても理解が難しいです。アルコールをやめる、クスリをやめるというのは、やはり自分がそれをやめるってことだから、やめようと思わないとダメなんじゃないですか? 「本人がやめたいって気持ちをもつことは大切だ