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作家を作った言葉〔第3回〕綿矢りさ | 小説丸
世間とか常識とか醜聞への恐怖が見えない壁となって行く手を阻んでいると、いかん、自分の殻を破らねば... 世間とか常識とか醜聞への恐怖が見えない壁となって行く手を阻んでいると、いかん、自分の殻を破らねばと焦るけれど、なかなか勇気が出ない。普段ガチガチに〝わきまえた人〟を装っていると、ポロッとわきまえてない本性が周りにバレたときギャップが大きい。人間らしさを周囲に見せていれば世の中の人もそれほどギャップに驚かなくても済んだのに、普段ギチギチに我こそは良識のある人間だと振る舞い、ストイックに素の部分を抑圧していたせいで、余計ボヨーンと跳ね返ってしまったりする。小説を書いていると、たとえ中身がフィクションでも、この良い子ぶりっ子で勝手に作ってしまってる見えない壁を打破できないことがあり、己の醜い感情に見て見ぬふりしていると、いつの間にか物語も本当の人間らしさとはかけ離れた方向へ進んでしまうときがある。どうしたもんかなと悩んでいたときに、ちょうどミラクルひかるさんのこの言葉である。 〝いつか法律で引っ