わすれぐさ（ヤブカンゾウ） ** 万葉植物 ** | 月に昇るその日まで

万葉仮名 -- 萱草 藪萱草（ヤブカンゾウ） 忘れ草我が紐に付く香具山の古(ふ)りにし里を忘れむがため 大伴旅人 万葉集 [巻三 334] この歌は 大伴旅人 が九州・大宰府の長官だったころに詠んだ。 「忘れ草」を身につけておくと ”憂いを忘れる” という中国の故事にならって…… 「忘れ草を着物の紐に結びつけてみたが、効果があるかなー」と。 自身の気持ちを花に託して詠んでいる。 生れ育った明日香（奈良）の都を懐かしんでいるようす。 忘れ草は萱草（カンゾウ）のこと。 「萱（かん）」は中国では ”忘れる” という意味。 昔、中国では萱草を「忘憂草（ぼうゆうそう）」ともいい、この花を見たり身につけたりすると…… 世の中のいやなことが忘れられるとして大切にされていたそうです。 古い時代に中国から渡来した萱草は万葉集にも詠われ、人々に親しまれていたよう。 藪萱草（ヤブカンゾウ） ヤブカンゾウ（藪萱草