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角川春樹・実母の手記(1994.3)
我が息子、 春樹への「遺言」 鈴木冨美子 これは私の遺言でもあります―― 幼い春樹や歴彦を奪われた実の... 我が息子、 春樹への「遺言」 鈴木冨美子 これは私の遺言でもあります―― 幼い春樹や歴彦を奪われた実の母が今、初めてすべてを明かす! 御本人には失礼な話なのだが、「角川家の一族」(『宝島30』12月号)の取材をしている間に、既に他界されたという噂を耳にした。生年を考えれば、亡くなられていても、確かに不思議はない。角川春樹は産みの母について、どこかで<幻の母>という表現を用いて語っていた。実在の生母は、文字通り<幻の母>となってしまっていたのかと、わずかに感傷めいたものがよぎった。と同時に、映画『人間の証明』の公開時に一度だけ、マスコミで取り上げられ、その後は世間から忘れられていた人のことであれば、むしろそれが自然なことでもあるように思えた。 健在であると分かったときには、だから――重ね重ね失礼だが――かえって不思議な気分にとらわれたものである。知人の方を通じてお会いしたいという希望を伝えた