第77巻 第8号

■表紙の説明 表紙の図は，原子核反応7Be＋n→7Li＋pの反応断面積を測定するための「トロイの木馬法」の実験セットアップの写真と，その概念を表現したものである．この反応は，ビッグバン元素合成において，7Liの生成量に最も影響を与えるものの一つであるが，7Beと中性子nが両方とも不安定な原子核であるため，通常の原子核実験では測定が難しい．トロイの木馬法では，中性子の代わりに重陽子標的を用いるが，重陽子の比較的「ゆるい」結合のおかげで，良い近似で中性子と7Beビームとの反応の情報を抜き出すことができる．その命名は，木馬の中（重陽子）に紛れて城壁の中（目的の反応）へ兵士（中性子）を送り込む，というギリシャ神話のトロイの木馬に因む．この実験結果により，ビッグバン元素合成での7Li生成量の予想値が，観測値に従来より近づくことが示された．詳細は本号に掲載されている早川勢也氏らの「最近の研究から」記事

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“"ニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊"で宇宙の謎を探る”"ビッグバン元素合成――「トロイの木馬法」で迫る「リチウム問題」"