コラム凡語：心配性バイアス : 京都新聞

マンションの火災報知器が鳴っているのに、なかなか住民は出てこない。「またか」「本当に火事かも」と揺れながらも、じっとしていた筆者である▼だから偉そうなことは言えない。西日本豪雨で特別警報や避難指示が出ても、避難せずにいた人が少なくなかった。京都市で避難所に身を寄せた人はわずか０・４％。ほかに安全な所があれば、必ずしも避難所でなくていいだろうが、それにしても▼「正常性バイアス」という言葉を災害のたびに耳にする。自分は大丈夫という思い込みを、心理学でこう呼ぶ。ささいな異常にいちいち反応しては身が持たないので、正常の範囲として処理する心の傾向。だれもが思い当たろう▼２００３年の韓国・大邱（テグ）地下鉄放火事件。車内に煙が流れてきたのに乗客は逃げず、２００人近くが亡くなった。迫る危機に「正常性バイアス」が作動してしまった▼災害に対し人の心の傾向を自覚しておきたい。とはいえ、実際のところ即避難できる

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“京都大防災研究所の矢守克也教授は「心配性バイアス」という造語を考え出し、減災・防災に活かそうと提唱している”