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【書評】狂っていたのは夫か妻か──伝説を覆す評伝文学の傑作
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【書評】狂っていたのは夫か妻か──伝説を覆す評伝文学の傑作
【書評】『狂うひと 「死の棘」の妻・島尾ミホ』/梯久美子著/新潮社/本体3000円+税 【著者プロフィ... 【書評】『狂うひと 「死の棘」の妻・島尾ミホ』/梯久美子著/新潮社/本体3000円+税 【著者プロフィール】梯久美子(かけはし・くみこ)/1961年熊本県生まれ。北海道大学文学部卒業。『散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道』(新潮文庫)で大宅壮一ノンフィクション賞。『愛の顛末 純愛とスキャンダルの文学史』(文藝春秋)など著書多数。 【評者】鈴木洋史(ノンフィクションライター) ノンフィクションという足腰のある手法により文芸評論が到達し得ない深みにまで真実を掘り下げ、著名な作家夫婦を描いた評伝文学の希有なる傑作が誕生した。 作家島尾敏雄(1917~1986)の代表作『死の棘』(1977)。愛人との情事を記した夫の日記を読んだ妻が、その衝撃で精神に異常を来し、以来狂ったように夫を責め立てる。 その壮絶な日々を描いた作品で、内容はすべて島尾とその妻でやはり作家だったミホ(1919~2007)の