あいちトリエンナーレのささやかな「勝利」

＜社会に大きな波紋を投げかけている「あいちトリエンナーレ2019」、この事件の「現場」はどこなのか。そして、そこはいまどうなっているのか......＞ 9月の上旬、名古屋市と豊田市にある国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」（以下、トリエンナーレと略）の会場のいくつかを一日かけて見てまわった。 すでに多くの報道がなされているとおり、今年８月１日に開幕したトリエンナーレは、来場者に危害を与えることを示唆する脅迫や、攻撃的な抗議が殺到する事態により、出展作の一つである〈表現の不自由展・その後〉が開始３日目で展示中止となり社会に大きな波紋を投げかけた。 同展の中止決定に至る経緯が「検閲」にあたるとして、国内外の参加アーティストの多くがこの決定に抗議する声明文に署名した。過酷な検閲を経験してきた地域のアーティストを中心に、作品の引き上げや展示内容の変更といった動きも起きた。私が名古屋を訪れた前

[mmsuzuki]

“町に溶け込んだ雰囲気のなかで、もしもあの少女像が、あるいは天皇の肖像をモチーフにした映像作品が、分散的に展示されていたら、それでもあのような激しい反発は起きただろうか”

[frothmouth]

”死せる作品、つまり展示中止や形態をネガティヴに変更した作品より、いわば「生き続けている」作品のほうが、どうしても肯定的な力をもってしまうという端的な事実をも教えてくれた”

[ykkykym]

“作品の引き上げや展示内容の変更も起きた。トリエンナーレはすでにきわめて不完全な状態にあったが、私はむしろそのような傷ついた状態をこそ目撃しておきたかった”

[kagecage]

見にいきたくなった