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【日本よ】石原慎太郎 文学と世相 - MSN産経ニュース
時代々々で人々の嗜好(しこう)も変わり、人間の感性も時代の文明に規制されて変容しよう。それを占う... 時代々々で人々の嗜好(しこう)も変わり、人間の感性も時代の文明に規制されて変容しよう。それを占う媒体もいろいろあるが、歌曲といった端的な表現よりも、小説という情念の複合的な所産の方が時代の深淵を覗(のぞ)かせてくれるような気がする。最近小林多喜二の『蟹工船』が若い世代の中でブームとなり識者を驚かせた。並行して太宰治の小説もそれらの世代に強い共感で読まれ幾つもの作品が映画化されている。 こうした現象は私の知己の精神病理学者斎藤環氏の分析だと、仕事にあぶれがちのニートやフリーターといった二十代三十代のいわばロストジェネレイションの人生への不安、不満を踏まえての共感だろうという。むべなるかなという気がする。 小説の流行(はや)りすたりなるものは、それが描く風俗も含めて時代の風や流れに染まりやすいが、さらにその芯に在る本質的なものを見逃してはなるまい。『蟹工船』の人気は組織としての企業と個人の自我
2009/12/07 リンク