河北新報 東北のニュース／恵みの海傷深く 「全滅でねえが」漁師絶句 気仙沼

チリ大地震による津波襲来から一夜明けた１日午前。リアスの恵みの海に、大きなつめあとが残されていた。養殖施設の被害状況を見ようと、気仙沼沖に出た漁師に同行した。 南側の湾口に位置する気仙沼市階上地区。ワカメやカキを養殖する小野寺清繁さん（６０）＝同市長磯浜＝の小舟に乗った。津波で切れて漂うロープをスクリューに巻き込まないよう、小野寺さんは慎重に舟を進めた。海面はまだ不気味にゆらゆらと揺れ、怖さが込み上げてくる。 「この辺りはワカメとカキのいかだが整然と並んでいたんだ。すっかりやられちまったよ」。港を出て数分。小野寺さんはため息をついた。 養殖物を海中につるすロープの両端は１００キロ近い重りやいかりで固定しているが、津波の圧力で数十メートル幅で行ったり来たりを繰り返すうちに、ロープが絡み合ってしまった。「どこから手を付けていいのか分がんねえ」。被害の様子を見に来た漁師仲間と短く言葉を交わ

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