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フリードリヒ (ロマン派)
当時、ローマへの旅行は、美術家にとって不可欠であった。 しかし、彼はローマへ行かなかった。 南方の... 当時、ローマへの旅行は、美術家にとって不可欠であった。 しかし、彼はローマへ行かなかった。 南方の、地中海の快活、明るい風景が、彼の禁欲的な精神を崩壊させはしまいかという危惧があったのである。 フリードリッヒの風景は北ドイツ、バルト海沿岸の荒涼として峻厳な風景、またザクセン、ハルツ地方の険阻な山岳の風景から想を得ている。 その美しい木々、丘、港、朝霧、光は、密接な自然観察によるものであると同時に、精神的であり、何か見えないものへの畏怖を感じさせる。 フリードリッヒは、19世紀、ドイツロマン派の代表者である。悲劇的な風景画、という新しい分野を開拓した。これまでの宗教画のイメージを捨て去り、自然を基軸とした絵を描いた。 広大な風景と光に、精神性、象徴性を与え、自然に対する恐れ、畏怖の念を描いた最初の画家である。 フリードリヒ特有の冷たい、厳しい色、澄んだ光、鋭い輪郭は、もの悲しく、孤独で静寂な