大学 ･ インテリ ･ 教養 NTT出版Webマガジン -Web nttpub-

潮木守一『職業としての大学教授』 2009年10月に大変面白い本がでた。潮木守一『職業としての大学教授』（中央公論新社）である。面白かったことのひとつは、本書でふれられている欧米の大学教員の採用や昇進のありかたをみると、日本の大学教員の世界がいかに特異な「ぬるま湯」なのかがあらためてわかったことである。 大学教員に占める教授の割合は、欧米では13-25％にすぎないのに、日本は40％。欧米では教授とそれ以外の准教授や講師などの大学教員の占める割合はピラミッド型であるのに、日本は煙突型か「逆」ピラミッド型なのである。また欧米では、教授への昇進は、ドイツの教授資格試験のように、外部審査があるのがふつうだが、日本の場合は同じ学部の同僚によるお手盛り人事である。著者はいう。「優れた研究成果を上げた教授もそうでない教授も、優遇もなければ制裁もない。これほどの悪平等はいったいいつまで許されるのだろうか

[scicom]

大学・インテリ・教養　竹内洋 著　最終回 高学歴ワーキングプア問題解決にむけての大学院改造案 教養難民の系譜（15）