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【今週はこれを読め! SF編】ぐだぐだと弛緩した、しかしステキに怪しい子どもの日常 - 牧眞司|WEB本の雑誌
ケリー・リンクの第三短篇集。十篇が並ぶが、うち三つは既刊短篇集に収録ずみ。あえて重複させたのは、... ケリー・リンクの第三短篇集。十篇が並ぶが、うち三つは既刊短篇集に収録ずみ。あえて重複させたのは、ひとつのコンセプトがあるためだ。十篇すべて主人公は少年少女。著者のサイトでは「ケリー初の、あらゆる世代のための一冊」とうたわれている。 とはいえ、リンクの作品は少年小説の定型からはほど遠い。おおよその少年小説は、世界はまず大人のまなざしで捉えられ、それを少年に仮託して物語化する(その過程で大人のまなざしは隠蔽される)。いわば、少年は文学装置にすぎない。それに対して、リンクは少年の視野を取り戻すところからはじめる。世界は退屈で苦痛で気味が悪く、だがワケのわからぬ素敵な怪しさがある。そんな世界にさらされているため、子どもは純真だが同時に残酷で卑怯でもある。あるいは逆かもしれない。子どもがそんなふうだから、世界がヘンになってしまう。ま、どっちでも同じことか。 レイ・ブラッドベリの初期作品も、そうした少
2014/08/12 リンク