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『女の子を殺さないために』 川田宇一郎著 : 書評 : 本よみうり堂 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
この評論が指摘する通り、日本の恋愛小説は大量の「女の子」を作中で殺してきた。それも男女の一線を越... この評論が指摘する通り、日本の恋愛小説は大量の「女の子」を作中で殺してきた。それも男女の一線を越えた途端、健康で美しいヒロインを脈絡もなく。 その理由を明らかにするべく、用意された作品の系譜は1960年代の柴田翔→70年代の庄司薫→80年代の村上春樹。もう一本はヘッセ→サリンジャー→庄司→村上。周辺には川端康成から氷室冴子まで等価に配され、「女の子殺し」にまつわる類似点や関連が、じつに細やかに考察されていく。「幼なじみ」「逃走」などの共通項から読み解けば、たしかに女の子が死なねばならない運命も見えてくる。そして彼女らはなぜか「落下」する存在でもあり続けた。 例外的に『赤頭巾ちゃん気をつけて』の薫くんは、シリーズ最終作で女の子と手をつないで神社の階段を降りていく。そして『1Q84』のヒロイン青豆は「BOOK3」で恋人を先導し、高速道路への階段を昇る。二つの場面をつなぐのは、まさに表題の思いだ
2012/03/27 リンク