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冬の節電
saebou.hatenablog.com
『ディヴォーション: マイ・ベスト・ウィングマン』をNetflixで見た。実在するアメリカ軍の黒人パイロットで、非白人としてアメリカ軍史に残る業績をあげたジェシー・ブラウンと、そのウィングマンだった白人のトム・ハドナーをめぐる史実に基づいた作品である。 www.netflix.com 1950年代、トム・ハドナー(グレン・パウエル)と、初めてアメリカ海軍生え抜きの黒人パイロットとなったジェシー・ブラウン(ジョナサン・メジャース)がクオンセット・ポイント空軍基地に赴任してくる。ジェシーは既に家庭があり、仲間とつるむよりも妻と過ごすのを大事にしていたが、キャロル(ニック・ハーグローヴ)やトムとは親しくなる。ところが最初の任務の出張先でキャロルが事故死してしまう。トムと組んだジェシーは朝鮮戦争で戦果をあげるが、ジェシーの乗機が墜落してしまう。トムはコックピットから出られなくなったらしいジェシー救
昨日、アトロクで発表した映画ベスト10です(伊賀大介さんのベストとあわせてこちらとこちらで聴くことができます)。今年は133本の映画を見ました。そのうち27本は配信で、1本は日本未公開(ソフトで鑑賞)です。 1. 『メタモルフォーゼの縁側』…ポジティブなファン活動の楽しさに、世代の違う女性の交流を丁寧に織り込んだ作品。 2. 『私ときどきレッサーパンダ』…こちらもポジティブなファン活動についての作品。赤いレッサーパンダが何を象徴しているのか考えるのも面白い(たぶん月経じゃない)。 3. 『サポート・ザ・ガールズ』…かなり深刻な話なのに、コメディみたいな構造であんまりじめじめしていないのが面白い。 4. 『ミセス・ハリス、パリへ行く』…原作より良かった…というか、子どもの頃に読んで納得できなかったバッドエンドがやっと解決された気分になった。 5. 『ファイアー・アイランド』…『高慢と偏見』を
『ペルシャン・レッスン 戦場の教室』を見た。 www.youtube.com 第二次世界大戦中、ユダヤ人の青年ジル(ナウエル・ペレーズ・ビスカヤート)はたまたまペルシャ語の本を持っていたため、ユダヤ人狩りの際に自分はペルシャ系だというウソをついて死を逃れようとする。たまたま収容所の管理職であるコッホ(ラース・アイディンガー)がペルシャ語を習いたいと思っていたため、ジルは全く知らないペルシャ語をでっちあげてコッホに教えることで生きのびることになる。何度か正体がバレそうになりつつ、ジルは危ないところを切り抜けるが… 強引な展開ながらも細部がリアルな作品だが、実話に基づいているわけではないそうだ。短編小説をもとに、ホロコーストサバイバルに関するいろいろな話からヒントを得て作った映画だということである。途中で「それはないだろ…」と思うようなところはけっこうある。ただ、主人公ジルの決死のサバイバルを
ジャウム・コレット=セラ監督『ブラックアダム』を試写で見てきた。 www.youtube.com 舞台は中東のどこかにあると思われるカーンダックである。この国は古い歴史があるが、英語を話すおそらくアメリカ系の組織であるインターギャングの支配下にあり、圧政に苦しんでいた。そこで反政府活動を行っていた考古学者のアドリアナ(サラ・シャヒ)は、追い詰められた時に身を守ろうとして5000年間眠っていたテス・アダム(ドウェイン・ジョンソン)を起こしてしまう。突然目を覚まして混乱気味のテス・アダムをつかまえるべく、アマンダ・ウォラー(ヴァイオラ・デイヴィス)の要請でジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカのメンバーが出動するが… いろいろ雑で緩いところはたくさんあるが、気楽に楽しめるアクションコメディである。いきなりテス・アダムが何の説明もなく英語を話し始めるあたりとかツッコミどころは満載で、このへんは
『アバター:ジェームズ・キャメロン 3Dリマスター』を試写で見た。実は私はこれまで一度も『アバター』を見たことがなく、今回初めて見た(2009年9月からイギリス留学をしていたのだが、2009年後半から2010年初めにかけては留学したてでお金がない上、余裕があったら全部芝居につぎ込んでいたので、全く映画館に行く機会がなく、見逃した)。このため、新規追加シーンなどは一切わからない。 www.youtube.com 海兵隊員のジェイク(サム・ワーシントン)は戦闘中に負傷して両足が不随になり、車椅子での生活を送っていた。ジェイクは急遽、急死した双子の兄トミーの変わりとして「アバター」なるプログラムに参加することになる。このプログラムは、惑星パンドラに住む現地人であるナヴィと交流するため、地球の人類がナヴィのアバター(人間の意識を接続させて動かす分身みたいな人工生命体)と同期して現地フィールドワーク
カンタン・デュピュー監督『地下室のヘンな穴』を見てきた。 www.youtube.com 舞台は現代フランスのどこかの郊外である。アラン(アラン・シャバ)とマリー(レア・ドリュッケール)の夫妻は地下室にヘンな穴のある家を買うことにするが、この穴はなぜか家の上階につながっており、入ると時間が12時間進むかわりに肉体が3日若返るというものだった。マリーはこの穴を使うのにハマってしまい、若返ってモデルになると言い出す。一方、アランの上司であるジェラール(ブノワ・マジメル)は年下のガールフレンド、ジャンヌ(アナイス・ドゥムースティエ)と暮らしていたが、最近、日本でペニスを電子制御ペニスに付け替えてもらっていた。ところがこのペニスはけっこう不具合を起こしており… テーマは若さへの執着で、マリーとジェラールが女と男、それぞれ違った形で自分の加齢と成熟に向き合えない人として出てくる。ただ、突然モデルにな
ジョーダン・ピール監督の新作『NOPE/ノープ』を見てきた。 www.youtube.com 主人公であるOJ・ヘイウッド(ダニエル・カルーヤ)は父と一緒に映画やテレビに出る馬を訓練する仕事をしていたが、父が空からの落下物による直撃で死亡して以来、譲り受けた牧場の経営に四苦八苦していた。妹のエメラルド(キキ・パーマー)は明るい性格だがあまり牧場を手伝わず、ハリウッドでもっと華やかな仕事をしたいと願っている。ところが牧場のあたりで異変が続き、2人は電気店の技術職員であるエンジェル(ブランドン・ペレア)に手伝ってもらって監視カメラを設置するものの… (これ以降全てネタバレ)序盤はSFホラー、終盤は動物パニック映画である。たぶん予告から想像するよりもずっと『ジョーズ』とか「モルグ街の殺人」とかに近い映画だと思う…のだが、そういうジャンル映画の枠を使って、黒人のパフォーマーやスタッフが抹消されてき
アレックス・トンプソン監督『セイント・フランシス』を試写で見た。ケリー・オサリヴァンが脚本で、主役のブリジットも演じている。 www.youtube.com 30代半ばのブリジットはだいぶ年下の付き合っているのか付き合っていないのかもよくわからないようなボーイフレンドとの関係で妊娠し、中絶をしてから不正出血みたいな症状があってあんまり具合が良くない。ブリジットはレズビアンのカップルに育てられている小さなフランシス(ラモーナ・エディス・ウィリアムズ)の子守として働き始める。フランシスの両親はラティンクスで第2子を生んだばかりで産後鬱気味のマヤ(チャリン・アルヴァレス)と、これまたストレスがたまり気味のアフリカ系のアニー(リリー・モジェクウ)というマルチレイシャルカップルで、いろいろ問題をかかえていた。 とにかくブリジットがかなりずぼらな女性で、それを非難がましくなく描いているのがよい。ブリジ
タイカ・ワイティティ監督、マイティ・ソーシリーズ最新作の『ソー:ラブ&サンダー』を見た。 www.youtube.com 全体がコーグ(タイカ・ワイティティ)の語りの枠に入っている。ソー(クリス・ヘムズワース)は瞑想したり、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーと冒険したりしていたが、神を敵視し抹殺を企むゴア(クリスチャン・ベール)がニュー・アスガルドの子どもたちを誘拐してしまう。ソーはニュー・アスガルドの王であるヴァルキリー(テッサ・トンプソン)、ミョルニルを持つマイティ・ソーとなったかつての恋人ジェーン(ナタリー・ポートマン)、良き相棒コーグとともにアスガルドの子どもたち奪還に挑む。しかしながらジェーンは秘密を抱えていた。 全体的にはワイティティ監督らしいユーモラスなタッチの作品だが、一方でやたらとロマンティックなところがあるのもワイティティらしい。ワイティティは『シェアハウス・ウィズ・ヴ
『メタモルフォーゼの縁側』を見た。 www.youtube.com 高校生のうらら(芦田愛菜)は本屋でバイトをしていたが、そこで75歳の書道教師である雪(宮本信子)に出会う。雪はひょんなことからBL漫画にハマっており、コメダ優 (古川琴音)の漫画の続きを探していた。BLが好きなうららは雪と親しくなり、ついには自分で漫画を描き始め、コミティア出場を目指すが… 対象が漫画で私みたいに映画とか舞台ではないのだが、いろんなジャンルに共通するファンガールの心境を大変に生き生きと描いた作品だ。いわゆるセレンディピティでBLにハマる雪と、ひとりでBLを楽しんでいて周りにはそれを隠しているうららが作品を軸に友情を築いていく様子を丁寧に描写しており、こういう文化系女子みたいな女の子の心情を描いたものとしては『ゴーストワールド』以来のきめの細かさだと思った。ただ、雪とBL仲間になってからうららが自分でも作品を
『ザ・ロストシティ』を見てきた。 www.youtube.com 元研究者で今は冒険ロマンスもののベストセラー作家であるロレッタ(サンドラ・ブロック)は学者だった夫ジョンをなくして以来、創作意欲が衰えてスランプ状態だった。やっと完成した新作のプロモーションのため、シリーズの表紙のモデルをつとめているアラン(チャニング・テイタム)とイベントをすることになる。ところがあまり乗り気でないロレッタはアランと言い争いをして会場を出た直後、イギリスのメディア王のドラ息子で宝探しオタクのアビゲイル(ダニエル・ラドクリフ)に誘拐されてしまう。アビゲイルは研究者時代の知識を題材にロマンスものを書いているロレッタの知識を使って、失われた都市Zの宝物のありかの手がかりとなる古文書を解読させるつもりだった。一方、アランは元軍人のジャック(ブラッド・ピット)を頼んでロレッタ救出に向かうが… キャスリーン・ターナーが
湯浅政明監督『犬王』を見てきた。古川日出男の小説『平家物語 犬王の巻』のアニメ映画化である。脚本は野木亜紀子、キャラクター原案を松本大洋、音楽を大友良英がつとめている。 www.youtube.com 南北朝の時代が舞台で、異形の者として生まれたが猿楽の芸を極めると身体の異形の箇所がひとつずつ減っていく犬王(アヴちゃん)と、壇ノ浦の海人の息子で平家が残した三種の神器の剣引き上げにかかわったせいで盲目になり、琵琶法師を目指すことになった友魚(森山未來)の数奇な運命を描いた作品である。犬王は新しい猿楽の芸で京都で大人気になり、友魚も友有と改名して犬王のことを語る琵琶の歌で人気を博す。やがて犬王には将軍・足利義満(柄本佑)から声がかかる。 原作小説のほうはなんだかんだで猿楽とか琵琶とか日本の伝統芸能の話という印象がけっこうあったのだが、映画のほうはグラムロックに寄せていることもあってあまりそうい
『トップガン マーヴェリック』を見てきた。前作『トップガン』(1986)から36年振りの続編ということである。メインキャストのトム・クルーズとヴァル・キルマーは続投だが、トニー・スコットはお亡くなりになっているので監督はジョセフ・コシンスキーがつとめている。ヒット曲であるケニー・ロギンズの「デンジャー・ゾーン」は続投である。 www.youtube.com マーヴェリックことピート(トム・クルーズ)は極めて優秀なパイロットとして30年以上軍アメリカに勤務し、本来なら大出世するかそろそろ退役していてよい年頃だが、現場を離れたがらず、大佐としてマッハ10を達成するプロジェクト用テスト機を操縦する仕事をしていた。マーヴェリックはマッハ10を達成したものの頑張りすぎて機体を破壊してしまい、若き日のライバルで今は提督になっている親友アイスマン(ヴァル・キルマー)のご意向でトップガンの教官をつとめるこ
サム・ライミ監督『ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス』を見た。 www.youtube.com ドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)は、街で怪物に追われていた少女アメリカ(ソーチー・ゴメス)を助けるが、アメリカはマルチバースを移動する能力を持った少女だった。ドクター・ストレンジはアメリカをカマータージに匿い、魔女であるワンダ(エリザベス・オルセン)に相談するが、実はアメリカを狙っていたのはスカーレット・ウィッチことワンダだった。子どもを失い(『ワンダヴィジョン』参照)、他のユニバースで無事に子育てをしているワンダの人生をうらやんだワンダは、マルチバースを操る力を手に入れようとしていたのである。ドクター・ストレンジはウォン(ベネディクト・ウォン)と一緒にワンダに立ち向かおうとするが… 全体としてはサム・ライミ監督らしいホラー映画になっており、とくにいろいろな
マイク・ミルズ監督の新作『カモン カモン』を見た。 www.youtube.com 主人公のジョニー(ホアキン・フェニックス)はラジオの仕事をしており、アメリカ各地の子どもたちに会って未来についての質問をするというプロジェクトを行っている。ジョニーの妹ヴィヴ(ギャビー・ホフマン)は元夫ポール(スクート・マクネイリー)が心の病気になってその世話に行かねばならなくなり、ジョニーは妹の息子ジェシー(ウディ・ノーマン)を預かることになる。ポールの具合が悪く、ジョニーがジェシーの面倒をみる期間が長くなるうち、2人の関係はいろいろ問題も生じつつ深まっていく。 ひとり暮らしの男が子どもの世話をすることになって…みたいな映画はけっこうあるが、この映画はわざとらしい感動を排して、子どもは大人と対等なひとりの人間であるが、それでも子どもなのだ、というけっこう難しい内容をかなり多層的なやり方でちゃんと描こうとし
『マリー・ミー』を見てきた。 www.youtube.com 大スターのキャット(ジェニファー・ロペス)は婚約者バスティアン(マルーマ)とコンサート中に結婚することになっており、"Marry Me"という歌もリリースしていたが、ステージで結婚する直前にバスティアンの浮気動画がネットに流れる。ショックを受けたキャットは突然、観客席にいたチャーリー(オーウェン・ウィルソン)を選んで求婚する。チャーリーはたまたま友人のパーカー(サラ・シルヴァーマン)に誘われて娘のルー(クロエ・コールマン)とコンサートに来ており、パーカーの"Marry Me"というサインを持っていたのでキャットの目についたのだった。衝動で行った結婚式ごっこだったはずが、キャットの意向でしばらく2人は一緒に過ごしてみることにする。だんだん親しくなっていく2人だったが… 最近ではほとんど作られなくなってしまった華やかなロマンティック
『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』を見てきた。 www.youtube.com 公開初日なのでぼかし気味であらすじを書くが、シリーズ第3作のメインプロットはなんと不正選挙である。魔法界にもドナルド・トランプのような政治家がいる…ということで、グリンデルバルド(マッツ・ミケルセン)が選挙に詐欺的な手段で介入して魔法使いの国連みたいな組織の長になろうとする。これを阻止すべくニュート(エディ・レッドメイン)やダンブルドア(ジュード・ロウ)たちのチームが戦うというものだ。 魔法ワールドフランチャイズの生みの親であるJ・K・ローリングはトランス差別発言でエディ・レッドメインを含めた映画のメインキャスト陣から批判され、さらにジョニー・デップが妻のアンバー・ハードに対するDV疑惑と泥沼の離婚裁判でグリンデルバルド役を降板、次はエズラ・ミラーが精神不安定になって度重なる治安紊乱で警察沙汰
『見えるもの、その先に ヒルマ・アフ・クリントの世界』をオンライン試写で見た。スウェーデンの女性画家で、カンディンスキーやモンドリアン以前に抽象絵画を描いていたが全く知られていないヒルマ・アフ・クリントに関するドキュメンタリー映画である。 www.youtube.com ヒルマ・アフ・クリントは1862年にスウェーデンで上級軍人の家庭で生まれ、当時の女性としてはかなり高度な教育を受け、王立美術学校を出て画家になった。生計のために伝統的なイラストなどを描いていたのだが、一方で神秘主義にのめりこみ、極めて前衛的で抽象的な絵画を描くようになった。こうした作品はヒルマと直接面識がある人たち以外の間ではよく知られておらず、あまり展示もされていなかった(ただし、シュタイナーなどの人脈を介してカンディンスキーなどに通じるところはあったらしい)。生前に展覧会が開かれたことはないと思われていたが、実は192
ケネス・ブラナー監督作『ベルファスト』を見てきた。ブラナーの半自伝的作品で、少年時代を過ごした北アイルランドのベルファストを舞台にした作品である。 www.youtube.com 1969年のベルファストが舞台である。主人公である男の子バディ(ジュード・ヒル)はプロテスタントの労働者階級の一家の息子で、お父さん(ジェイミー・ドーナン)は大工でロンドンに出稼ぎに行っていることが多い。ところがベルファストはカトリックとプロテスタントの宗教紛争が悪化してほぼ内戦に近い状態になり、バディの近所が攻撃されてバリケードが設営される。バディの一家はカトリックや移民に悪感情を持っていないのだが、近所のビリー(コリン・モーガン)がお父さんに破壊活動に参加しろと脅迫じみた要求をしてくる。お父さんは仕事がたくさんあるロンドンへの移住を提案するが、ベルファストからほとんど出たことのないお母さん(カトリーナ・バルフ
『ガンパウダー・ミルクシェイク』を見てきた。 www.youtube.com 主人公サム(カレン・ギラン)は、殺し屋の母親スカーレット(レナ・ヘディ)がまずいことになって逃げ出して以来、母親と一緒に仕事をしていたネイサン(ポール・ジアマッティ)のもとで腕利きの殺し屋に成長していた。ところがサムがミッションの途中で少女エミリー(クロエ・コールマン)を助けたことからトラブルが発生し、サムは15年振りに母親と再会し、女殺し屋たちが運営する「図書館」に助けを求めることになる。 90年代のタランティーノ+ジョン・ウィック・シリーズの女性版みたいなアクションものである。けっこう激しく血が飛んだりするようなアクションが多いところは『キル・ビル』などを思わせるが、世界観が独特で特殊な設定が使われているところはジョン・ウィック・シリーズに似ている。とくにアンナ・メイ(アンジェラ・バセット)、フローレンス(ミ
ギレルモ・デル・トロ監督の新作『ナイトメア・アリー』を見てきた。 www.youtube.com 1939年、相当なわけありらしいスタン(ブラッドリー・クーパー)が、さまざまなあやしげな見せ物が売りの移動遊園地(カーニバル)に流れ着くところから始まる。いろいろな見せ物の手伝いなどで重宝されるようになり、千里眼ショーをやっているジーナ(トニ・コレット)とピート(デヴィッド・ストラザーン)に気に入られて読心術を身につけるようになる一方、電流ショーをやっているモリー(ルーニー・マーラ)と恋をし、一緒に出ていくことにする。2年後、スタンとモリーは街で読心術ショーで人気を博すようになっていたが、精神科医のリリス・リッター博士(ケイト・ブランシェット)にトリックを見破られそうになり、スタンはジーナやピートからやるなと言われていた霊媒のふりを始めるようになる。 前後編に分けてスタンの人生を追うというもの
『THE BATMAN ザ・バットマン』を見てきた。 www.youtube.com 主人公であるバットマンことブルース・ウェイン(ロバート・パティンソン)は大変引っ込み思案な性格で、ここ2年間、夜は正体を隠してバットマンとして活動しているが、他は経営も財産管理もほぼほったらかして屋敷の管理も執事アルフレッド(アンディ・サーキス)にまかせきりである。ゴッサムは市長選の最中だが、現職で選挙出馬中のミッチェル市長(ルパート・ペンリー=ジョーンズ)が殺害されてしまう。バットマンは正体を隠したまま、ゴードン警部補(ジェフリー・ライト)と協力して捜査にあたるが、どんどん被害者が増えて… かなり探偵ものノワールっぽい作りの作品である。パティンソンを初めとして役者陣のキャラが良く、面白いところはたくさんある。バットマンがあまりにも社交スキルが低くてお金持ちの御曹司っぽくなく(このブルース・ウェインは経営
『355』を見た。 www.youtube.com 女性チームが活躍するアクションものである。CIAエージェントのメイス(ジェシカ・チャステイン)は相棒ニック(セバスチャン・スタン)を任務の途中で失い、MI6のIT専門家ハディージャ(ルピタ・ニョンゴ)と一緒に世界のITセキュリティを揺るがすデバイスを追う仕事をすることになる。途中でコロンビアのセラピストであるグラシエラ(ペネロペ・クルス)やデバイスを追っていたドイツ連邦情報局のマリー(ダイアン・クルーガー)も加わって世界を救うべくチームで活動を始めるが… こういうアクション映画を作りたいという心意気は大変よろしいし、つまらない映画ではない。とくにダイアン・クルーガー演じるマリーは数カ国語を操りつつ暴れまくり、爆破しまくりの一匹狼エージェントで大変にカッコよく、クルーガーの活躍を見るだけでお金を払う価値はある。また、ペネロペ・クルス演じるグ
スティーヴン・スピルバーグの『ウエスト・サイド・ストーリー』を見てきた。言わすと知れた有名ミュージカルのリメイクで、原作は『ロミオとジュリエット』である。 www.youtube.com 基本的なお話は変わっていないのだが、スピルバーグとよく一緒に仕事をしていて『エンジェルス・イン・アメリカ』作者であるトニー・クシュナーが台本を作り直しており、これがかなり効いている。プエルトリコ系への人種差別やジェントリフィケーションによって貧困層のコミュニティが無くなることなど、明確に社会問題が織り込まれている。女性陣のキャラクターがよりはっきりしており、アニータ(アリアナ・デボーズ)は服飾店を持つことを夢見ていてボクサーとして成功しつつあるベルナルド(デイヴィッド・アルヴァレス)の求婚に対しては慎重だし、妹のマリア(レイチェル・ゼグラー)も兄の保守的な振る舞いには批判的で大学に行きたがっている。ドクに
「大学のハラスメントを看過しない会」のインタビューを受けました。早稲田大学で起こったハラスメントに関する活動をしている方々のウェブサイトです。インタビューは三部構成です。 dontoverlookharassment.tokyo dontoverlookharassment.tokyo dontoverlookharassment.tokyo
12/1(木)から12/2(金)にかけて科学技術振興機構東京本部別館で開かれる第13回情報プロフェッショナルシンポジウム(INFOPRO16)にて、2日目午前中のシンポジウムに登壇して日本語版ウィキペディアの話をいたします。10時開始で、「トーク&トーク 情報社会から融合社会へ− 仮想と現実が融合する社会での情報のガバナンスと信頼性を考える」という題目のセッションです。主にウィキペディアの信頼性とかの話をする予定ですが、こんな情報系のセッションに呼ばれたことは今まで一度も無いので緊張しています… この日は英日翻訳ウィキペディアン養成プロジェクトで学生たちが作ったウィキペディア記事に関するポスター発表もする予定です。これまたポスターを作ったことが無いので緊張しています。 こちらにチラシがありますので、ご覧下さいませ。
『ユンヒへ』を見た。 www.youtube.com 韓国に住むユンヒ(キム・ヒエ)は離婚し、ひとりで娘のセボム(キム・ソへ)を育てていた。そこに届いたジュン(中村優子)という女性からの手紙をきっかけに、いろいろあってユンヒはジュンが住む北海道の小樽に旅をすることになる。セボムはいろいろ画策して2人を会わせようとするが… 女性同士の細やかな恋愛感情に母と娘、おばのマサコ(木野花)と姪の関係などを丁寧に描いている作品である。そこに韓国と日本、両方の国での性差別や民族差別を絡めている。クィア映画としてはよくできた作品だとは思う。 しかしながら、道産子である私がものすごく違和感を抱いたのは小樽の描写である。フィルムコミッションがかかわっていて小樽の地元の風景がたくさん織り込まれた観光映画なのだが、この小樽の描写が韓国の描写に比べて生活感に欠け、ほぼ理想化された観光地としての雪国、ある種の漂白され
昨日、出演した『アフター6ジャンクション』の放課後ポッドキャストで発表した今年の映画ベスト10です。今年はわりと映画なのか舞台なのか判断が微妙なもの(グリーンバックで役者を別々に撮って合成した「舞台」とか)を見たため、確実に「〇本映画を見ました」と計算しにくいのですが、とりあえず確実に映画と判断できるものは100本をちょっと超えるくらいは見ています。 1.『フリー・ガイ』 2.『パーム・スプリングス』 3.『パワー・オブ・ザ・ドッグ』 4.『あのこは貴族』 5.『ロマンティック・コメディ』 6.『ビーチ・バム まじめに不真面目』 7.『DUNE/デューン 砂の惑星』 8.『KCIA 南山の部長たち』 9.『モロッコ、彼女たちの朝』 10. 『天国にちがいない』 なお、ワーストは『ラストナイト・イン・ソーホー』、ベスト10に入れるかどうか迷ったのは『EMMA エマ』です。 ↓放送はこちらで聞
エドガー・ライト監督の新作『ラストナイト・イン・ソーホー』を見てきた。 www.youtube.com 主人公のエリーことエロイーズ・ターナー(トーマシン・マッケンジー)はコーンウォールのレドルースからロンドン・カレッジ・オブ・ファッションに進学することになる。幼い頃に母を亡くして祖母に育てられ、60年代に憧れて裁縫やデザインをしているエリーだったが、母親の霊を見ることがあり、そのことを祖母はとても心配している。上京してなかなか大学に慣れないエリーは寮を出てグッジ・プレイスにあるコリンズさん(ダイアナ・リグ)の家に間借りすることになるが、毎晩、60年代にそこに住んでいたらしい女性サンディ(アニャ・テイラー=ジョイ)のやたら生々しい夢を見るようになり… 画面は綺麗だし衣装がとにかくオシャレなホラー映画なのだが、脚本も演出も頭が痛くなるような内容である。女性に対する暴力を批判的に描きたいのだろ
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