ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (16)

  • 一文字も読まずに本を評価する3つの方法

    読むべきが積み上がっているのに、面白そうな新刊が出てきた。ルトガー・ブレグマン『Humankind』という新刊だ。 「激推し」「人間への見方が新しく変わる」「正しく世界を認識できる一冊」など、インフルエンサーたちの熱き言葉が飛び交い、評判がよさそうだ。おまけにKindleという便利なボタン一発で買えてしまうので、お財布はいつだってピンチだ。 だが、ちょっと待て。 当にそれは「いま読むべき」なのか? 当にそれで「あらゆる疑問がクリアになる」のか? 財布のダメージもさることながら、集中力や時間といったリソースも無駄にしたくない。 信頼できる書評家に頼る そういうとき、私は信頼できる書評に頼る。 基読書の冬木糸一さんが頼りになる。私の興味と重なる新刊をいち早く・数多く紹介してくれるので、ありがたい。面白いポイントをつかみ取り、ポジティブに評価している。 そんな冬木さんが慎重な書き方をして

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    equalsu 2021/08/21
  • 驚くほど上達する「みんなで推敲」体験事例の発表会まとめ

    「文章の推敲は、自分一人でやるものだ」と思いこんでいないだろうか? しかし、グループウェアなどのコラボレーションツールを使って「みんなで推敲」すると、文章は、驚くほどよくなる。 「Googleドキュメントを文章推敲プラットフォームとして使う」という、誰でも思いつきそうな、しごく単純なアイデアだが、実際にやってみると、驚くほどの威力があり、新鮮な感動を覚える。これは、集合知を使った文章推敲のイノベーションだ。 この「みんなで推敲」の体験談の発表会が8月30日に開催された。具体的に、どのように「みんなで推敲」が行われ、文章が改良されていくのか、そのプロセスが分かる、たいへん興味深い内容だったので、この記事でまとめる。 今回発表を行ったのは、ふろむださん主催の[面白文章力クラブ]のメンバーの3人。このクラブは、ライティングの初心者からプロまでが集まって「みんなで推敲」を行う場所だ。 わたし自身、

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    equalsu 2019/09/02
  • 本棚を見ると興奮する『ニッポンの本屋』

    楽しい話をしたいので、屋の話をする。 屋というのは面白いもので、さまざまな「並べ方」や「ディスプレイの仕方」をしてくる。これ、屋にとってまちまちで、店主(棚主?)のポリシーみたいなのが透け見えて愉快になる。「おお、このとそのを並べるのか!? あえて!」とか「なぜこの棚にそれを置く……そうか! そういう意味か」なんて呟きながら棚をめぐることになる。 最近一番笑った棚がこれ。下北沢のB&Bな。 パッと見ると、「」にまつわる様々なが並べられている。レシピ材の歴史や、料理文化の関係を書いただ。フレーム外に、「べる」にまつわるコミック&コミックエッセイ、料理の科学などが並んでいた。フィクションとノンフィクションの混ざり具合が絶妙で、いい棚だなーと眺めてたら驚いた。左端に着目してほしい。非常に面白い「材」を見つけられただろうか。 これ、棚を見る人の目線の動きまで計算して差して

    本棚を見ると興奮する『ニッポンの本屋』
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    equalsu 2018/06/29
  • 数学はなぜ哲学の問題になるのか

    数学と、数学の哲学をメタ的に考える一冊。 数学は人の領域を(論理的に)超えることができる。「数学でなしうる範囲=人の抽象化できる限界」にもかかわらず、数学の範囲内の概念を対応付けることにより新たな領域を拡張することができるから。ポール・ゴーギャンの『我々はどこから来たのか? 我々は何者か? 我々はどこへ行くのか?』への応答の一つになる。数学が哲学の問題になる理由は、ここにある。 「自然数」から始める。0を入れるとか入れぬとかいった議論を端折って、1、2、3......がなぜ natural なのかというと、人の指が1、2、3......だから。10で繰り上がるのが一般化した理由も、人の両手の指の合計が10だから。ウマの指の数は一つの脚につき1だという。ガリヴァー旅行記に登場するウマの姿をしたフウイヌム族の数学は、4進数に違いない。 しかし、知能を持つ存在が手や指を持たなかったら? 深海に

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    equalsu 2018/06/26
  • 【スプラトゥーン2】 わが子をS帯に入れるために親がしたこと

    結論から言う、「親が楽しそうに遊ぶ」である。 父を越えてS帯に! 娘スゴい!  #Splatoon2 #スプラトゥーン2 #NintendoSwitch pic.twitter.com/iwZQhfhlQ8 — スゴの中の人 (@Dain_sugohon) 2018年6月13日 基的に「たくさん塗ったほうが勝ち」なので、水鉄砲でペンキ遊びしているようなノリでプレイする。そんな親の後ろ姿を見ていて、「わたしもやりたい!」と言い出したのでコントローラーを握らせる。 スプラどころか、FPSすら初である。いきなりネットワーク対戦は酷なので、一人でできるゲーム(ヒーローモード)をやらせる。「ホタルちゃんカワイイ!」とか「このタコ~~」と大騒ぎしながら、クリアする。負けるとカンシャクを起こし、イライラを周囲に撒き散らす人がいるが、何の意味も無い、何の意味も無い。これ、口で言っても聞くわけがないので

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    equalsu 2018/06/14
  • なぜ「面白い物語」は面白いか?『物語論 基礎と応用』: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    なぜ「面白い物語」は面白いか? トートロジーみたいだが、小説を読んでて、そんな疑問を抱いたことはないだろうか。ひたすら浸っているときは気付かないが、読了後、どうしてあんなに夢中になっていたのか不思議に思ったことはないだろうか。 わたしはある。一般に面白い小説に共通する特徴を洗い出したり、特定の人が面白がる「面白がりかた」を考えることで、おぼろげながら、「面白い物語の法則」のようなものを見出していた。あるいは、脚術やストーリーメイキング、『マンガの創り方』といったネーム作りのハウツーから、創作のための実践的なノウハウをもらっていた。 だが、たいていはヒューリスティックで「売れた作品を分析するとこうなっている」という経験則が最初にあり、その理屈は後からとって付けたように書かれている。そうではなく、「人はなぜ物語を好むのか?」というそもそも論から始めたい。もちろんアリストテレス『詩学』のよう

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    equalsu 2018/06/07
  • 読書猿さんと対談した

    読書猿さんとお会いして、お話することができたので、さしさわりのない範囲でまとめる。 濃厚かつ一瞬の2時間だったが、学ぶヒントや学び続ける勇気、そして大量のスゴを教えてもらえるという、かけがえのない時間でしたな。フォレスト出版さん、読書猿さん、ありがとうございます。ブログやってて良かった! 自ら学ぶことを大切にしている人で、読書猿さんを知らない人はいないだろう。一言なら、哲人(てつじん)。すぐれた知性と見識の高さ、的確すぎる筆致と高高度な調査能力を駆使する、教養の化物である。古今東西のあらゆるを吟味し玩味し紹介するブログ[読書猿]の中の人で、メルマガ[読書猿]を発行しており、『アイデア大全』『問題解決大全』というスゴを著している。 お会いするまで、そんな人は実在しないと考えていた。読むのも書くのも質量ともども桁外れ、文献調査や公開情報を用いた分析が研究機関レベルで、得られた知見を、読み

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    equalsu 2017/12/05
  • “奇跡の惑星”から、ありふれた奇跡へ『系外惑星と太陽系』

    読前・読後で世界を一変せしめるようなをスゴと呼ぶのなら、これはまさしくそれ。 なぜなら、薄々考えてきたことが、エビデンスと共に論証されており、今まで学んできた天文学、地球物理学、生命科学の知識が急速に収束し、「地球外生命はいる」という確信になろうとしているから。同時に、わたしの思考が、いかに地球を中心に囚われていたことに気づかされたから。 タイトルの「系外惑星」とは、太陽系以外の惑星のこと。ここ数十年の間、この系外惑星が続々と発見されるにつれ、生命活動が可能な惑星(ハビタブル惑星)に対する認識が塗り替えられてきた。かつては、かつては「奇跡的」だったものが、「ありふれた奇跡」になろうとしている。しかも、ハビタブル「惑星」である必要はなく、ハビタブル「衛星」の可能性も示唆されている。 つまり、「ハビタブル」の条件を考えるにあたり、「太陽系の地球のような惑星」のイメージを壊し、ゼロベースで考

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    equalsu 2017/09/29
  • 科学の面白さ・楽しさを伝える100冊 「科学道100冊」

    科学の面白さ・素晴らしさを届ける企画として、「科学道100冊」が公開されている。これは、科学者の生き方や考え方を伝えるために、100冊のが選ばれている。 ミソは「いわゆる理系」に閉じないところ。もちろん分野ごとの啓蒙書もあるが、「世界の見え方の変遷」を鳥瞰する科学史、センス・オブ・ワンダーを喚起する小説漫画、知的好奇心を刺激する図鑑など、いろいろ揃えている。 例えば、ディックの電気羊やパワーズ『オルフェオ』が「科学の」として並んでいる。これ、選者のメッセージが込められているんだろう誰だろうと見たら、編集工学研究所だった。松岡正剛さんの名前を前面にしてないのは、硬すぎず深すぎずが意図されているのだろう。 この100冊からいくつか選んでみた。さいきん微生物にハマっているわたしとしては、そっち系を入れて欲しかったが、ないものねだりかも。 生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問について

    科学の面白さ・楽しさを伝える100冊 「科学道100冊」
  • 死ぬことよりも怖いこと『ウインドアイ』

    死ぬのはそんなに怖くない。必然だから。せいぜい苦痛は避けたいとか、お別れや身辺整理の時間があればと願うのみ。 しかし、私が私でなくなるのは怖い。肉体や精神の欠損だけでなく、肉体であれ精神であれ、私の容れ物から「私」が滲み出たりブレだすのは嫌だ。私が私を保ったまま遠ざかり、時間からこぼれ落ちてしまうのが恐ろしい。この離人症的な怖さ、うまく伝えるのは難しい。 だが、ブライアン・エヴンソンの短編を読むと、嫌というほどよく分かる。そして、分からない方が幸せだったかも……と後悔することになる。前作『遁走状態』[レビュー]は怖かったが、今回も輪をかけて恐ろしい。どちらも甲乙つけがたいが、『遁走状態』→『ウインドアイ』の順に読むが吉かと。 読み始めてすぐ違和感を感じ、読み進むにしたがって「ざわざわ」が増してゆき、物語の決定的なところで胸騒ぎが物だったことを思い知る。しかも、予想の斜め上の、もっと嫌な予

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  • この本がスゴい!2016

    人生は短く、積読山は高い。 せめては「死ぬまでに読みたいリスト」を消化しようとするのだが、無駄なあがき。割り込み割り込みで順番がおかしくなる。読了した一冊に引きずられ、リストは何度も書き直される。 重要なのは、「あとで読む」は読まないこと。「あとで読む」つもりでリツイート・ブックマークしても読まないように、あとで読もうと思って読んだ試しはない。だから、チャンスは読もうと思ったそのときしかない。実際に手にとって、一頁でも目次でもいいから喰らいつく。勢いに任せて読みきることもあれば、質量と体力により泣く泣く中断するもある。かくして積読山は標高を増す。 ここでは、2016年に読んだうち、「これは!」というものを選んだ。ネットを通じて知り合った読書仲間がお薦めするが多く、それに応じてわたしのアンテナが変化するのが楽しい。わたし一人では、数学経済学歴史学、進化医学や認知科学の良を探し出せな

    この本がスゴい!2016
  • 『アジア史概説』はスゴ本

    「交通」から見たアジア史。 文明の原動力を、陸塊の形態に還元したマクロ史観の大胆な試みとして、ジャレ・ド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』[レビュー]があるが、宮崎市定『アジア史概説』は、これを「交通」に還元して俯瞰する。西アジアのペルシア・イスラム文明、東アジアの漢文明、その間のインドのサンスクリット文明、そして東端の日文明───各文明は互いに交通という紐帯によって緊密に結び付けられており、相互に啓発しあい、競争しあい、援助しあいながら発展してきたダイナミズムを、一気に、一冊で読み通すことができる。 あたりまえなのだが、ざっくり歴史を古代/中世/近世と分けるとき、文明は軌を一つにして変遷しない。にもかかわらず、西洋史のスケールに囚われてしまい、アジアの各文明とのタイムラグを見落としてしまう(もちろん、ヨーロッパが最も「遅れて」いた)。現代を“支配”している欧米の価値観で振り返るとき、この

    『アジア史概説』はスゴ本
  • 科学と歴史が、哲学を通じて手を結ぶ『歴史を哲学する』

    恥ずかしながら、「歴史修正主義」という言葉を誤解していた。 厳然たる客観的な「歴史」があるのではなく、受け止める時代ごとの価値観に沿って解釈・再解釈されることを指した用語だと思っていた。しかし、より通俗的には、「歴史修正主義」には、自分のイデオロギーに都合よく史料を取捨選択したり、主張に合わせて誇張・矮小化を図る意味もあることを、書で知った。 『歴史を哲学する』は、分析哲学の立場から歴史と科学の双方に手を伸ばし、握り合った好著である。「歴史は科学だ」言うと唐突感があるが、著者・野家啓一氏が提唱する「歴史の物語り論(narrative theory of history)」を援用することにより、科学の確からしさと同等に、歴史の確からしさに触れることができる。科学は科学、歴史歴史、それぞれの分野で広げてきた知見が、その母胎である哲学のところで同じ理屈でつながり合っていることが分かって、嬉し

    科学と歴史が、哲学を通じて手を結ぶ『歴史を哲学する』
  • 『市民のための世界史』はスゴ本

    知りたいことをネットで質問するのに、うまい方法がある。 初心者は、「○○について教えてください」と尋ねる。すると、Wikipediaのコピペを掴まされた挙句、「ちなみに旦那の年収は一千万円です」と聞かされるハメになる。上手な人は「教えてください」なんて下手に出ない。では、どうするか? 知りたいことについて分かってる限り、ドヤ顔で語り出すのだ。すると、その道の通たちが、寄ってたかって指摘してくれる。このブログで有難いのは、そうした専門家からツッコミをいただけるところ。 今回は、宮崎市定『アジア史外観』のレビューの反応から、『市民のための世界史』という素晴らしいをご紹介いただいた(稲田さん、ありがとうございます)。これは、タイトルさえ知っていれば検索できるが、どういう目的で、何を条件にすればヒットするかは、絶対に分からない。「わたしが知らないスゴ」は、読んだ誰かに教えてもらう外はない。「世

    『市民のための世界史』はスゴ本
  • 駅を見る目が一変する『駅をデザインする』

    出口は黄色、入口は緑、丸の内線は赤い○。何気なく目にしている駅案内をデザインしたのが、この著者だ。 著者は、地下鉄の初乗り30円だった1972年から、駅の公共空間における問題解決のデザインを進めてきた。書は、その豊富な事例とともに、彼自身の熱い思いを受け取るだろう。 そのデザイン思想は、「サインとはメディアである」の一言にまとめられる。そして、このメディアを、「案内サイン」と「空間構成」の2つの方向性から説明する。すなわち、パブリックな空間における、提供者と利用者のコミュニケーションを図る際、「言葉」に相当するのが案内サインであり、「場面」に相当するのが空間構成だというのだ。 「案内サイン」の事例は、営団地下鉄(今は東京メトロ)での改善になる。まず、多様な形式の案内表示を統一し、シンプルな記号体系にまとめる。その上で、乗車系・降車系のそれぞれの利用者動線に沿った組み合わせで提示する「サイ

    駅を見る目が一変する『駅をデザインする』
  • 『ヒストリエ』を10倍楽しく読む方法

    過去は確定してるから、あらゆる歴史はネタバレである。だが、「なぜそうなったのか」は時代によって違う。あるいは為政者の都合で改変される。 史家も人の子、自分が生きている時代の風潮というか要請に従い、歴史を書き直す。ネタは割れているのだが、その解釈が変わる。そういう意味では、あらゆる歴史はネタ割れである。ある事実が、それぞれの時代でどのように解釈されてきたかを辿ることにより、その時代が浮き彫りになる。 岩明均『ヒストリエ』は、アレクサンドロス大王を描いた傑作漫画(彼に仕えたエウメネスを主役にしているのがミソ)。未読なら強くオススメする「四の五の言わず、黙って読め」と。ただし、連載ペースがゆっくりしているため、「続きが読みたい病」に罹ること必至。ここでは、そんな患者の方々に、『ヒストリエ』を10倍楽しむための一冊『興亡の世界史 アレクサンドロスの征服と神話』をご紹介。 神か魔物か伝説か、毀誉褒貶

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