二月某日、「新しい技をあみだした。みんなをびっくりさせたい」と言って、知り合いやマンションに住んでいるみなさんを朝五時に呼び出して、地下駐車場で自分の胸から上を一刀両断して自殺した剣の達人、ノムさんの葬儀がしめやかに行われた。大好きなまんじゅうだらけの式となった。 そこに、一番弟子の堀切くんはいなかった。堀切くんは、師匠の愛刀「豊丸」を持って、上半身裸でマンションの屋上にいた。眼下には、街の明かりの海が広がっている。 「よっ、よっ、よっ、よっ」 師匠ゆずりのなめたかけ声で刀を黙々と振り続ける堀切くんの体は、冬場にもかかわらず、すでに汗にびっしょりと濡れ、胸はどっきりしていた。 あの日、師匠からのメールを見たとき、の「朝五時は無理です」と送ろうとして送らず、そのまま昼まで寝たことを堀切くんは悔いていた。目がすごく怖くてウツボみたいだった。 ここでピンと、堀切くんは死ぬつもりだと思った読者に拍