『一冊の本』の金井美恵子先生の連載、今回は茂木健一郎と中村文則の悪口で爽快。恐山へ行って「信じてない」と言いつつ小林秀雄の霊をイタコに呼び出して貰ったり、盛んにテレビに出るかと思えば江原啓之の『ANOYO』なんて雑誌にも登場して、とうてい学者とは思えない茂木である。中村文則のほうは『群像』の合評の川村二郎先生の引用で、かつてのドストエフスキー熱がぐるりと一回りした感じで、歓迎したくない先祖返りだと川村先生はおっしゃっている。誰が見たってドストエフスキーのまねをすれば純文学小説になるという基本的勘違いをしているこの若い作家を世間が甘やかす理由が私にはよく分からぬ。顔がいいからか? 金井先生がドスト嫌いであることも分かって感涙にむせぶ。先月の毎日新聞の川村湊など中村を持ち上げているがごとくに見えて単に死刑制度反対を唱えていただけ、今月は教育基本法改正反対を言っているだけで、これは文藝時評じゃな