昨日12月5日から朝日新聞朝刊で「65年目の「遺言」」と題する連載が始まった。第1回は名古屋空襲で両足を失った女性への取材。 季節の変わり目や、雨が降る前、両足のつけ根に痛みが走り、生きながらに体を焼かれたあの日がよみがえる。 「死ぬまで戦争に追いかけられるのでしょうか」。岐阜県多治見市の老人介護施設で松野和子さん(83)は年数回、一睡もできずに朝を迎える。17歳9ヶ月の時、両足を切断してから65年を過ぎた。 (……) 6年前、老人介護施設に入った。認知症がすすみ、記憶が薄らいでいくのを自分でも感じる。それとともに、「長生きできただけでも幸いだ」と口をつくようになった。月2回面会にいく妹良子さんの思いは複雑だ。「認知症になって初めて自分を幸せと思える国なんて。国は戦災傷害者が死ぬのを待っている」 (……) 和子さんは言う。「昔の嫌なことはずいぶんと忘れた。でも、戦争が終わり、民主主義の国に