オランダ最古の街の一つマーストリヒト。欧州連合(EU)の創設を定めた条約に名を冠された地としても知られるこの都市の中心部に「世界で最も美しい」と評判の書店「ブックハンデル・ドミニカネン」がある。13世紀の教会を改装した書店は数年前に廃業の危機に陥ったが、市民の出資で乗り越え、人生に彩りを与える知の拠点として地元の人々に愛されている。 店名はカトリックの一派、ドミニコ会の教会だった建物を使用していることに由来する。本を模した特注の鋼鉄の扉をくぐると、ゴシック建築の特徴であるとがったアーチに支えられた天井のフレスコ画に引きつけられた。広々とした吹き抜けの空間に長い窓から光がたっぷり差し込み、高さ8メートル、長さ30メートルの黒い本棚が不思議と調和する。