【ベルリン=井口馨】第2次世界大戦後、ドイツ国内での出版が実質的に禁じられていたアドルフ・ヒトラーの著書「我が闘争」が8日、戦後初めてドイツで再出版された。 昨年末に著作権が切れたのを契機に、内容や記述の問題点などに関する注釈をつけた形で出版された。 ナチス・ドイツの独裁者ヒトラーが半生やホロコーストにつながる反ユダヤ思想をつづった同書の著作権は、ヒトラーが死亡した時点の住所登録地だった南部バイエルン州が管理していた。同州は、ナチスによる虐殺の犠牲者への配慮や、極右勢力の利用を懸念し、出版を認めてこなかった。ただ、これまで古書店で原書を入手したり、インターネット上で全文を閲覧したりすることは可能だった。
カメラで撮影した顔の特徴から同一人物を自動的に検知する。そんな顔認識システムが、小売店で客層把握や万引き防止に使われ始めている。 こうした顔データは、今秋改正された個人情報保護法で個人識別符号と位置づけられ、取得にあたって利用目的を示さなければいけない個人情報であることが明確にされたが、本人が気付かないうちに顔データが活用されているケースも少なくない。 今月上旬、作業着を扱う全国チェーンの埼玉県内の店舗。商品を選んでレジに来た客の顔を店員の背中側にあるカメラがとらえると、レジ裏のパソコンに「男性 38歳 ID/○△×……」と表示された。 「目や鼻の位置などの特徴をデータ化し、IDを割り振る仕組み。レジのPOS(販売時点情報管理システム)と合わせれば、客の購買履歴を簡単に管理できる」と説明するのは、今年7月からチェーンの一部店舗に顔認識システムを導入した役員。「建設業界の労働人口は高齢化で先
盛岡市に本店がある老舗書店「さわや書店」のフェザン店長田口幹人さん(42)が、地域の中小書店の現状や役割について書いた「まちの本屋」を出版した。さわや書店は、地元ならではの独自の戦略で本を売ることで全国的に知られる。自身の経験をもとに、本と書店への愛を包み隠さずにつづった。(浅川貴道) さわや書店は県内外で11店舗を展開する。中でも、盛岡駅ビル「フェザン」の店舗は、地元客との距離の近さを生かした書棚の構成や、ポップ看板などで有名。フェザン店が発信源となったヒット作も生まれている。 田口さんの実家は、西和賀町にある小さな書店だった。幼い頃から本好きで、盛岡市にあった「第一書店」に入社した。5年半勤めた後、実家を継いだが、経営不振で閉店を余儀なくされた。さわや書店に移り、2011年からフェザン店の店長を務めている。 書店の現状と、本を売る楽しさを知ってほしいとの思いで執筆を思い立った。「仕事は
マンホールのふたをテーマにした書籍が相次いで出版された。テレビやラジオなどでも取り上げられ、女性のマンホール愛好家を指す「マンホール女子」という言葉も生まれた。何がマニアを熱くさせているのだろうか。 『マンホール 意匠があらわす日本の文化と歴史』(ミネルヴァ書房)を出版したのは、元東京都下水道局職員の石井英俊さん。変わったマンホールを探すようになったのは、20年近く前、旅行先の三重県伊勢市で「おかげまいり」のマンホールを見かけたのがきっかけ。「こんなかわいいふたがあるのか」と凝ったデザインに目を奪われた。 「マンホールの絵柄で多いのは、各自治体がシンボルとして選んでいる花や木、鳥です」。都内にある石井さんの自宅周辺を一緒に歩いてみると、すぐに都の下水道のマンホールが見つかった。中央にソメイヨシノをあしらい、周囲にイチョウ、ユリカモメを配した典型的なパターン。こうした凝ったデザインのマンホー
「新編世界イカ類図鑑」の表紙。イカが逆さまのように見えるが、学術の世界ではこれが標準だ(東海大学出版部提供) イカは三角頭巾のある方が頭側で、こちらを上に表示した方が良いのか、あるいは逆か――。 イカが「市の魚」の北海道函館市で、ちょっとした“議論”が起きている。10日からは、イカやタコなどを研究する世界の頭足類学者の国際シンポジウムも函館で開かれる予定で、シンポを機に一般の論議も深まりそうだ。 シンポ開催が決まった後の今年4月、米ミネソタ大学の中島隆太准教授(現代芸術)が作成した大会ロゴマークの素案が、各国の学者にインターネットで回覧された。三角頭巾を上にした図案だったが、国内外の学者からは「少し違うぞ」との忠告が続出。中島さんは、一般にゲソと呼ばれる腕の部分を上にした図案に作り直した。 中島さんは「当初の図案は日本の一般的なイカのデザインを意識した」と説明。そのうえで、「今回は専門家の
海外から訪れる人もいる吉祥寺の絵本専門店「トムズボックス」(武蔵野市吉祥寺本町2)が、今年限りで閉店する。オープンから22年余り、個性的な品ぞろえと店構えから、絵本関係者の間で「聖地」と呼ばれてきた店がなくなることに、ファンからは惜しむ声が出ている。(山田佳代) ◆愛され22年余/惜しむ声1600件 吉祥寺の中心から外れた場所に、4坪ほどの店はある。長い間専用の入り口はなく、隣の紅茶専門店を通り抜けて入った狭い店内には、絵本が所狭しと並べられていた。 トムズボックスは1993年4月、編集者の土井章史さん(58)が、大好きな絵本作家で漫画家の長新太さんや井上洋介さんの絵本を取りそろえて始めた。 珍しい1色刷りや話の展開が独創的なものなど一般の書店ではあまり並ばない絵本を扱い、店内に絵本作家の絵を飾って月ごとに個展もした。国内外の本や雑誌などで「大人も楽しめる絵本専門店」として紹介され、5年ほ
わたしは影響を受けやすいタイプだ。書店のポップに、「ダマされないワケがない!」とか「涙なくして読めない感動のラスト」とか書いてあると、ダマされないで読んでやろうとか、涙なんてそう簡単に流れないよと、負けず嫌いに火がついて買ってしまう。だがそんなぬるい闘争心は一瞬で消え去り、見事にダマされ、号泣している。 とにかく感化されやすい。本選びもそうだが、本を読んだことで影響を受けて何か新しいことを始めることもよくある。 今や月一で寄席に通い、稽古をつけていただいて高座に上がらせてもらうほど好きになった、落語。これも本がきっかけだ。『しゃべれども しゃべれども』を読み終え、学校の図書室の端の棚に落語のCDがあったのを思い出して、すぐさま駆け込んだ。最近では可愛(かわい)い手作り小物を本で見て、本屋から手芸用品店へ直行した。今は時間さえあれば針を握って格闘している。 本がきっかけで何かをしたくなる、と
浮世絵師らが男女の性風俗を描いた「春画」を紹介するグラビア記事掲載を巡り、警視庁が8~9月、「週刊ポスト」(小学館)など週刊誌4誌に口頭指導していたことが、同庁幹部への取材で分かった。 ほかに指導を受けたのは「週刊現代」(講談社)、「週刊アサヒ芸能」(徳間書店)、「週刊大衆」(双葉社)。4誌はそれぞれ東京都文京区の「永青文庫」で開催中の「春画展」の一部作品をカラーで紹介するなどしていた。 同庁幹部によると、春画そのものは違法となる「わいせつ図画」に当たらないが、別ページで女性のヌード写真を掲載したり、掲載作品の一部が露骨に男女の性器が見える内容だったりしたことから、「わいせつ性が強調される」として配慮を求めたという。
「猫が経済を動かす?」――近頃、CMや映画、ゲームアプリや動画など、あらゆる媒体で猫がもてはやされ、「ネコノミクス」という言葉もささやかれている。その手を借りて、廃店寸前の状態から見事復活し、いまや「猫好きの聖地」とも言われる書店が東京・神田神保町にある。 その名は「猫本専門 神保町にゃんこ堂」。神保町は約200店もの書店が軒を連ねる言わずと知れた日本一の本屋街だが、出版不況の大波はこの町も襲っている。この町で長年営業していた「姉川書店」という小さな書店も例外ではなく、衰退の一途をたどっていた。そんな中、その店主は猫好きの娘(筆者)のアドバイスを聞き入れ、書店の再生プロジェクトを計画。試行錯誤して、2年前に店の一部を「猫本専門 神保町にゃんこ堂」に模様替えした。その結果、世間の注目を集め、娘の狙い通り、売り上げも伸ばしている。 今年3月には、「猫本専門 神保町にゃんこ堂のニャンダフルな猫の
毎年ノーベル賞発表の時期になると、村上春樹の周辺が騒がしくなる。今年こそノーベル文学賞をとれるのか。多くの人の関心はそこに集中する。今回も受賞を逃したが、村上作品は英語をはじめ多くの言語に翻訳され、世界中で愛読されている。文学だけでなく音楽やポップカルチャーまで英語圏の文化に幅広く精通している村上春樹が書いた作品は、英語との親和性が高い。作品が素直に英訳できる。村上春樹が毎年ノーベル文学賞候補に挙げられる背景はそんな理由もありそうだが、実はその英訳は原文とは違った魅力を放っているのだ。 村上春樹の小説は、なぜ世界中の人々に読まれているのか――これはハルキ文学に興味を持つ人が一番知りたい疑問のひとつだろう。答えは読者の数だけあるが、よく聞かれる意見として「翻訳がしやすい文体だから」というものがある。 たしかに村上春樹の文体は英語の直訳のような文章も多く、読んでいて英訳が頭に浮かんでくることも
大手書店の紀伊国屋書店は、出版社からの本の直接仕入れの拡大に乗り出す方針だ。 通常の本の流通ルートである取次会社を通さずに、人気作家・村上春樹氏の新刊本の9割を出版社から直接仕入れる異例の取り組みが好評だからだ。台頭するインターネット書店に対抗する狙いがある。 紀伊国屋書店の高井昌史社長が、読売新聞のインタビューで、「直接買い取りの仕組みを広げ、町の本屋を活性化させる」と述べた。 一般的な取次会社を通した取引では、書店は売れ残りを出版社に返本できる。 これに対し、紀伊国屋書店は、10日に刊行された村上春樹氏の新刊「職業としての小説家」(スイッチ・パブリッシング社)の初版10万部のうち、9万部をスイッチ社から直接仕入れた。売れ残りの在庫を抱える危険を負う代わりに、ライバルであるネット書店への供給を絞ることができ、紀伊国屋の存在感を高めた。取次会社を通さない分、利益率も大きい。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く