○第165回(2016/6) 6月に上梓された石橋毅史『まっ直ぐに本を売る』(苦楽堂)は、できるだけ多くの出版流通に携わる、出版社、取次、書店の人たち、特にこれからの出版業界をつくり、支えていく若い人たちに、是非読んで欲しい本である。 ぼくが読後掛け値なしにそう思った理由は、そしておそらく石橋がこの本を書き「トランスビュー方式」の意義を世に問うた最大の理由は、「トランスビュー方式」を考案した工藤秀之が、何十年もにわたるこの業界の課題を慮ったり、考えたり、アイデアを出したり、愚痴ったりするだけでなく、実際にそれを実現し、15年にわたって継続しているからである。そして、その課題が即ち、「トランスビュー方式」が目指し実現した3つの原則なのである。 1すべての書店に、三割(正確には多くが32%)の利益をとってもらう。2すべての書店に、要望どおりの冊数を送る。3すべての書店に、受注した当日のうちに出