ロック史に残る歴史的映像です。保守的なフォークファンからブーイングと罵声の飛び交う中、一人の客が「Judas!(裏切り者!)」と野次を飛ばす。その言葉にどっと湧く会場。ディランは「I Don't Believe You(信じないね)」 「You're Liar(この嘘つきめ)」と客を牽制し、バンドに向って「Play it fuckin' loud(糞やかましくいこう!)」と叫ぶ。この言葉はディランの決意表明である。そのまま演奏に雪崩れ込み、ディランの言葉に呼応するかのようにザ・ホークスは嵐のように楽器を掻き鳴らす。そして何かを悟ったかのように笑みすら浮かべて「Like a Rolling Stone」を高らかに歌いあげるボブ・ディランであった。このツアーの数年後、カントリーシンガーに転向するというディランの天邪鬼ぶりも忘れてはならない。