人は生まれる場所を自分で選択できない。私はたまたま日本に生まれた。そして今はフランスにいる。もしタンザニアのヴィクトリア湖のほとりに生まれていたとしたら、もうとっくに命は尽きていただろう。 昨晩、急にさそわれて見たドキュメンタリー映画DARWIN’S NIGHTMARE (フランス語題Le Cauchemar de Darwin) で知ったタンザニアの現実はまさに地獄としか形容できないものだった。まったく予備知識もなく、ついていっただけだったが、見終わってからずっと頭から離れない。題名のように悪夢ならば目がさめれば終わりだが、人々の飢えには終わりがない。食べ物がなくて、毎日たくさんの人が亡くなってゆくのだが、その貧困の主な原因となっているのは、他の国から持ち込まれた巨大魚なのである。 もともとヴィクトリア湖は「ダーウィンの箱庭」と呼ばれるほどたくさんの生物が生息していた。湖のほとりに暮らす