「農家は出荷用の農産物には農薬を使うが、自家用の農産物には農薬を使わない。農薬の危険性を知っているからだ」という主張をよく見掛けます。誰が言い始めたことなのかはわかりません。しかし、現代の日本で根強く定着してしまっている言説です。twitter上でも時々見掛けます。この件について、私個人が農家や農業技術者、研究者から聞いた話を元に、私見を簡単に述べます。 農家が自家消費する農産物は、以下の2種類が考えられます。 (1)出荷用に栽培していたが、出荷できなかった農産物 (2)最初から自家用に少量栽培している農産物 地域や品目や栽培方式により割合は変動しますが、売り物にならない農産物は大量に出ますので、自家消費は(1)が多いようです。労力やコストを考えると、わざわざ売り物にならない農産物を栽培することはなかなか難しいようです。 (1)であれば、当然ながら農薬が使用されています。問題になるのは(2