福島の健康問題は放射線より糖尿病 データと医療知識を冷静に報道せよ 坪倉正治 医師、東京大学医学研究所特任研究員 東日本大震災および東京電力福島第一原発事故から5年になろうとする今、住民の健康に影響を与えているのは、医学的には結局のところ放射線ではない。 放射線ではないというのは、原発事故や放射性物質は関係がないという意味では決してない。 「放射線が細胞に当たり、DNAを損傷する。空間線量が何マイクロシーベルト(放射線の身体への影響の単位)あり、汚染物質が何ベクレル(放射性物質の量の単位)ある」といったことが問題なのではなく、「家族がバラバラになり、仕事やつきあう人間が変わってしまった。生活スタイルも変化し、未来への希望が描きづらくなった。高齢化もものすごく進んでしまった」などという生活環境の変化や生活再建に関わる問題が主体であるという意味である。 現場の問題は既に原発被災地だけの特殊なも