AIが犯罪者候補を抽出し、犯行前に警察が取り締まる。そんなSFのような話が新疆ウイグル自治区ではすでに現実に起こっている。AIへの巨額投資を惜しまない中国では、監視システムによって社会が良くなったとの声も。AIは人類の敵か、味方か。 実に驚くべき書籍である。ジェフリー・ケイン(訳・濱野大道)『AI監獄ウイグル』は、テクノロジーを政治的弾圧にどのように使っているのかを徹底的に明るみに出しており、このような内容の書籍は過去に類を見ない。 本書で描かれている中でも最もわかりやすい事例は、ウイグル人への「予測的取り締まり」だろう。AI(人工知能)とパーソナルデータによって、将来の犯罪者候補を抽出し、犯行の前に警察が取り締まるというものだ――こう書くと、ピンと来る人も多いだろう。そう、トム・クルーズ主演の2002年の映画「マイノリティ・リポート」である。殺人予知システムが実用化された未来の米国では、