(2010年3月9日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 先週、ある日本の政府高官は東京の執務室で、『Japan Rising(台頭する日本)』という先年出版された本を指さした。「時折あの本に目をやっては、自分を元気づけているんですよ」と、その高官は言った。 理由はよく分かる。日本は今、沈みゆく感覚にさいなまれているからだ。 経済規模で中国に抜かれ、トヨタは苦境に陥り、新政権への期待がしぼむ 中国は間もなく日本を追い越し、世界第2位の経済大国になろうとしている。日本の公的債務残高はGDP(国内総生産)比180%という恐るべき割合に達しており、先進国では(不名誉ながら)他を優に引き離してトップの座にある。 しかも、膨大な債務を減らすための信頼に足る計画も示されていない。 以前は日本の品質の定評を体現する存在だったトヨタ自動車も、安全性とPRの悪夢に足をすくわれ苦境にある。 2009年に日本経