タグ

ブックマーク / blog.goo.ne.jp/ikedanobuo (300)

  • デフレとマイナス金利 - 池田信夫blog

    WSJによれば、アメリカ経済はデフレになるおそれが強いという。現在の激しいdeleveragingを見ると、現金の供給が需要をはるかに上回っているので、すでにデフレ局面に入っている可能性がある。バブル崩壊は短期的な現象だが、このデフレの扱いを誤ると不況が長期化することは、日経済の貴重な教訓だ。 デフレが起こるのは、クルーグマンのいうように「均衡実質金利がマイナスになる」ためで、その原因は地底人のいうように過剰債務の返済(企業の純貯蓄)だが、これは彼らの信じているような新理論ではない。アーヴィング・フィッシャーは1930年代にdebt deflationによって自然利子率(均衡実質金利)がマイナスになる可能性を指摘し、ケインズは『一般理論』(p.357)にこう書いた:Gesellは、実質資の成長は名目金利によって制約されると論じている。[・・・]これを解決する方法として彼が提案したのが

  • White Swan - 池田信夫blog

    Bloombergによれば、Nassim Talebが顧問をつとめるヘッジファンド、Universal Investmentが今年、50%以上の値上がり益を出した。彼らの使っている投資プログラムBlack Swan Protection Protocolは、out-of-the-moneyのオプションを買うことでリスクをヘッジするものだ。 「われわれはCDSは買わなかった。それは沈んでゆくタイタニックから逃れるために、別のタイタニックに乗るようなものだ」とTalebは語った。「今回の危機の原因は、ウォール街が官僚化して『赤信号みんなで渡ればこわくない』という横並び意識で異常に高いリスクをとったことだ。サブプライムが危ないことはみんな知っていたので、これはBlack SwanではなくWhite Swanだ」。

  • 直接金融という神話 - 池田信夫 blog

    今週のEconomist誌は、今回の問題が「資主義の全面的危機だ」といった批判に反論し、派生証券の特殊性を規制当局が十分理解していなかったことが原因だとのべている。私の感想もまじえてメモしておく:マルクスをもじっていえば、いま投資銀行は鎖以外に得るものをもたない。世界中で「新自由主義」が終わったという大合唱が始まっているが、投資銀行が規制されていなかったというのは神話である。それは四半期ごとにSECに提出される膨大なファイルを見ただけでも明らかだ。問題は、その規制が今回のような事態を想定していなかったことであり、これは市場の失敗というより規制の失敗である。 大恐慌のさなかの1933年に、グラス=スティーガル法が成立した。これは銀行が証券業を兼営していたために株式の暴落が銀行の破綻をまねいたという認識にもとづいて、両者を分離するものだった。これは銀行のリスクは預金者に転嫁できないが証券の

  • 周波数オークションで経済活性化を - 池田信夫 blog

    書にも書かれているが、財政による「景気対策」が有害無益であることは、すべての経済学者のコンセンサスである。いま必要なのは、著者も強調するように日経済の「成長力」を高めることだ。そのためには、バラマキではなく競争促進による経済の活性化が必要だ。 その具体策が書にもいろいろあげられているが、ここでは周波数オークションだけを取り上げる。著者は「地デジ移行にともなって空く180MHzを周波数オークションにかければ、諸外国の例から5〜6兆円の国庫収入が上がる」と書いているが、これはちょっと大ざっぱだ。もう少し細かく試算してみよう。 180MHzあくというのは、私もASCII.jpに書いたホワイトスペースのことだ。中継局が重複している部分など安全を見込んでも、関東で28チャンネル=168MHzあいている(地方では200MHz以上あいている)。これ以外に、民放連もあいていることを認めた800M

    fromdusktildawn
    fromdusktildawn 2008/10/15
    構造改革を主張する経済学者には、(1)政府が市場に介入して産業構造を改革せよと主張するタイプと (2)政府の市場介入や規制を解消しろと主張するタイプの二つのタイプあるが、主流派が支持するのは後者。
  • クルーグマンにスウェーデン銀行賞 - 池田信夫 blog

    今年も当ブログの予想ははずれ、受賞者はノーマークのポール・クルーグマン。ノーベル財団の授賞理由を読んでも、よくわからない。"International Trade and Economic Geography"というのは、アメリカが日米半導体協定を求めてきたとき、彼らの理論武装に使われた「戦略的貿易政策」というやつで、いわゆる収穫逓増があると大きいものが大きくなるので、日の半導体を規制しろというものだ。今となってはナンセンスなことが明らかな理論で、その昔ロボトミーに授賞されたようなものだろう。 クルーグマンの政治とのかかわりは、1982年にレーガン政権のスタッフになったことから始まる。そのころは、いわゆるレーガノミックスにそって自由貿易を推進していたのだが、クリントン政権では大統領経済諮問委員会の委員長候補とされ、人もあからさまに「ポストに興味がある」と語ったが、結局ポストにはつけな

    fromdusktildawn
    fromdusktildawn 2008/10/14
    彼は、格差の拡大の要因を中国とかの安価な労働力との国との貿易に、過剰に求めたり、微妙なことも言ってたけど、面白い発言をしている経済学者は、たいてい痛い主張もしてるものなので、そういうものかな、と。
  • スペースシャトルからゴキブリへ - 池田信夫 blog

    今回の金融危機の原因を、契約理論で考えてみる。私の昔の論文の再利用だが、政策担当者には参考になるかもしれないので、簡単にまとめておく。かなりテクニカルなので、興味のない人は無視してください。 前に磯崎さんとの往復ブログ(?)でも書いたが、なぜ金融市場で株式と債券という特殊なcontingent claimが圧倒的に多いのかは、合理的に説明がつかない。理論的に考えれば、Arrow-Debreu証券(状態空間の単位ベクトル)で状態空間を連続にスパンすることで完備市場になるので、一般には株式も債券も最適な証券ではない(Allen-Gale)。派生証券で両者の線形結合をつくることによって効率は高まるので、こうした金融商品は市場ではゼロサムゲームだが、経済的な福祉は高まる(だから賭博とは違う)。 もし取引主体が無限に多く、彼らの選好が連続に分布していれば、すべての証券はArrow-Debreu証

  • 「ケインズ革命」の幻想 - 池田信夫blog

    Friedman-Schwartzの大著"Monetary History of the United States 1867-1960"の、大恐慌の章だけのダイジェスト版が再発売された。原著は、大恐慌の原因を「有効需要の不足」とする通説に挑戦し、その責任がFRBの誤った金融政策にあることを明らかにして、経済学や経済政策に大きな影響を与えた古典だが、膨大なデータの並ぶ900ページ近いで、通読した人はまずいないだろう。書も読みやすいとはいえないが、大恐慌の質がマネタリーなものだったことを立証する点で、現在の危機を理解する役に立つ。 もう一つ重要なのは、当時と現在の違いである。シュワルツもいうように、1930年代のFRBの政策が通常の景気循環を大恐慌にしてしまったので、中央銀行がそんなバカな政策さえとらなければ、「大恐慌の再来」はありえない。90年代の日も同じで、ゼロ金利や量的緩和を

  • グローバル金融市場:自由放任の終焉 - 池田信夫 blog

    When Fortune smiles, I smile to think how quickly she will frown. - Robert Southwell 今週のEconomist誌の特集のタイトルは"When fortune frowned"。これは今月出たIMFの世界経済見通し(和訳)の解説だが、大騒ぎの最中にこれだけレベルの高い分析ができる実力は、日の地底メディアとは桁違いだ。例によって、いい加減な訳に私見をまじえてメモしておく:IMFによれば、今回の金融危機による世界経済の損失は1.4兆ドル。これは4月の予想の1.5倍に達し、これまでに償却されたのは7600億ドルなので、まだ半分残っている。これによって欧米の銀行は融資残高を少なくとも10兆ドル減らし、2009年までに世界の資産は14.5%減ると予想されている。 今回の大恐慌以来の金融危機は、アメリカ中心の資

  • 構造改革は「清算主義」か - 池田信夫 blog

    Diggなどを見ると、大統領はオバマに決まりで、金融危機対策は「金融の社会主義化」だという意見で埋め尽くされている。政府を信用しないのはアメリカの健全な伝統だが、景気後退が深刻になってもbailoutに反対するのは、大恐慌のときフーバー政権がとった清算主義とよく似ている。日でも昭和初期に、銀行の倒産を「不良企業を整理する好機」として放置したことが金融恐慌をまねいた。 こうした清算主義はケインズが「古典派経済学」の欠陥として指弾したもので、Krugmanのようにシュンペーターやハイエクなどのオーストリア学派をその典型としてこきおろすのがお約束だ。日でもこれを受け売りして、「小泉政権の不良債権処理は清算主義だ」と批判する自称エコノミストが一部にいたが、彼らの元祖バーナンキ自身が不良債権処理を急いでいることでもわかるように、負債の清算こそ最優先の政策なのである。 ハイエクの1930年代の

  • 逆オークションの落とし穴 - 池田信夫 blog

    アメリカの金融危機では、経済学の応用問題が次から次に出てきておもしろい。金融危機対策は、やっと緊急経済安定法として成立したが、質的にむずかしいのはこれからだ。最大の問題は、不良資産をどう評価するかである。この法律にはMaximize the efficiency of the use of tax payer resources by using market mechanisms, including auctions or reverse auctions, where appropriate.と書いてあるだけで、この逆オークションを具体的にどう設計するか、何も書かれていない。私も論文を書いたことがあるが、逆オークションというのは要するに政府調達だから、フェルドスタインもいうように、普通は公共事業のように入札対象が同一でなければ成り立たない。ただ、これはテクニカルにはある程度、解決可

  • 大恐慌は再来するか - 池田信夫 blog

    今回のアメリカの金融危機を「大恐慌の再来」などという話がよくあるが、これは間違いである。トルストイ風にいえば、好況はいつも同じように幸福だが、不況はそれぞれに不幸なのだ。 ガルブレイスの(左)は先週、再発売されたが、初版は1955年。1929年の出来事を日記風につづったもので、経済学的な分析はない。これを含めて一般向けのでは、投機バブルの崩壊が大恐慌を引き起こしたといった説明が多いが、投機の失敗だけで10年以上も2桁の失業率が続くことは考えられない。これを理論的に説明したのがケインズの『一般理論』で、戦後の経済学の主流も「有効需要の不足」とか「流動性の罠」のようなケインズ的な説明だった。 この「通説」に膨大な実証データを使って挑戦したのが、Friedman-Schwartzの記念碑的な研究である(ただし通読するのは困難)。これは金融システムが崩壊していた時期にFRBが通貨供給を絞っ

    fromdusktildawn
    fromdusktildawn 2008/10/04
    「BernankeもPaulsonも次の手は用意しているだろう。」←そらそうでしょうな。問題は、周囲の理解と協力がどれだけ得られるか、だな。
  • ジャーナリストのための3分でわかるマクロ経済学 - 池田信夫 blog

    『諸君!』11月号に上杉隆・伊藤惇夫・宮崎哲弥3氏の座談会が出ている。そこで3人とも麻生首相のバラマキを批判しているのだが、宮崎氏が「今の景気をみれば、財政出動型の経済政策そのものは正しい」というと、他の2人も「それはわかります」と同意している。ジャーナリストにも、まだ経済学の常識は常識になってないようだ。上杉氏は当ブログを読んでいるようなので、マクロ経済学の常識をジャーナリストにも3分でわかるようにまとめておこう。 ジャーナリストも政治家も、わからないことはその道の専門家に質問できるという特権があるので、耳学問で結論は知っているが、論理的に理解していない。特に時間をかけて基礎的な勉強をしないので、学生時代の知識がそのまま残っていることが多い。私の学生時代に、サミュエルソンの教科書の最初に出てきたのは、次のような図だった: この45度線は所得と支出が等しくなる水準をあらわしている。有効

    fromdusktildawn
    fromdusktildawn 2008/10/03
    これだけの説明だと、「消費者心理が冷え込んでいる状況では、「需要の増えた部門」などというものがそもそも存在しないから、非効率な会社を潰しても、失業者が街にあふれるだけじゃないの?」って返されるのでは?
  • 経済学者の公開書簡 その2 - 池田信夫 blog

    先日の公開書簡がリバタリアン寄りだったのに対して、きのう出された経済学者76人の公開書簡は政府の金融危機対策への支持を訴えている:経済学者として、われわれは議会に提出された案を支持する。政府の介入が納税者にとって大きなリスクをともなうことは理解しているが、アメリカ経済は混合経済である。通常でも、政府は民間部門に強くかかわっている。通常時にはこのような対策を政府に求めることはないが、現在はまったく通常ではない。また残念ながら、それは初めてでもない。 アメリカはこれまで深刻な金融危機を切り抜けてきたし、今回も切り抜けるだろう。過去の危機の主要な教訓は、タイムリーで積極的な政府の介入で信頼を回復し、民間部門を活気づけることによって、経済的に望ましい行動をとることができるということである。アメリカ政府には経済を健全な軌道に乗せる能力があるので、この介入案のリスクは小さい。 政府案の成功は容易で

  • Back to the 90\'s - 池田信夫 blog

    アメリカの状況をみていると、日の90年代を違った形で後追いしているようにみえる。いわば日は、映画"Back to the Future"で未来にきたようなものだから、これからどうなるかも予測できる。今度の下院による金融危機対策の否決は、ドラスティックではあるが、日のバブル崩壊初期に起きた拒否反応とよく似ている。 1992年の夏、私はNHKスペシャル「追跡・不良債権12兆円」という番組を担当し、金融業界の関係者に取材していた。その実態はこの公式の数字(グロスの額)よりはるかに悪く、公的資金の注入は避けられないというのが彼らの一致した見方だった。宮沢喜一首相は、この年の軽井沢セミナーで、興銀の中山素平などが設立に動いていた担保不動産の買い上げ会社に「公的資金を注入することにやぶさかでない」とのべた。 このとき関係者がみんな心配していたのは、日債銀が関連ノンバンクで1兆円を超える不良債

  • 霞ヶ関の2ちゃんねらー - 池田信夫blog

    書の112〜4ページに、話題を呼んだ怪文書公務員制度の総合的な改革に関する懇談会報告書への素朴な疑問」の全文が出ている。おもしろいのは、最初に出ている(スペースも最大の)論点、「政と官の関係」だ。見出しには「なぜ集中管理が必要?国会議員が情報を得られなくなり、かえって『官僚主導』になるのではないか?」と書かれ、「政官の接触の集中管理」の禁止を彼らがもっともいやがっていることがよくわかる。 著者によれば、これを書いたのはなんと当時(今年3月)の行政改革推進部事務局に総務省から出向していた次長だったという。公務員制度改革の責任者が、渡辺大臣の方針を全面的に否定する怪文書を流していたのだから恐れ入る。彼は今年の異動で省に戻ったが、この怪文書の著者であることは霞ヶ関に知れ渡っていたので、増田総務相の怒りを買って左遷されたそうだ。 民間の常識では考えられないが、霞ヶ関や永田町にはこういう

    fromdusktildawn
    fromdusktildawn 2008/09/30
    霞ヶ関による高橋洋一一派つぶしが今後の見物だな。彼に協力した人は、ことごとくあることないこと、デマを流されて、それを世間はあっさり信じて、どんどん潰されていくかもね。それが怖くて、みな官僚に逆らえない
  • 小泉純一郎氏の遺産 - 池田信夫 blog

    小泉元首相が引退を表明した。彼について「構造改革をやった功績は大きいが、その負の側面が顕在化している」などという論評が多いが、政治的にはともかく、彼の経済政策には正負ともにほとんど特筆すべきものはない。郵政民営化は、高橋洋一氏もいうように財投改革で実質的には終わっていた話だし、道路公団の民営化も猪瀬直樹氏が裏切ったおかげで、骨抜きになった。「構造改革が格差を拡大した」とかいう批判に至っては、笑止千万だ。次の図(OECD統計)を見ればわかるように、日の非正規雇用の比率は1994年から一貫して増加しており、2001年に小泉氏が首相になってから特に加速した気配もない。格差を生み出したのは長期不況と、若者を犠牲にして中高年の雇用を守る日的雇用慣行なのである。 小泉氏の唯一の経済政策への貢献は、不良債権の最終処理を実行したことだが、これはむしろ竹中平蔵氏の功績だ。竹中氏も全容を把握していたわけ

    fromdusktildawn
    fromdusktildawn 2008/09/27
    小泉改革の成果は、一般人と経済学者で、ものすごく違う評価がされてるんだよな。
  • 中川昭一氏のためのマクロ経済学超入門 - 池田信夫 blog

    アメリカで行われている金融危機対策については、経済学者にとっても勉強になるハイレベルの論争が行われているが、日ではまだ半世紀前のケインズの亡霊が徘徊しているようだ。中川財務相・金融担当相が『中央公論』7月号に書いた「日経済復活のための13の政策」には、典型的なバラマキ政策が並ぶ:年金の物価スライド制復活と長寿医療制度での保険料軽減 子育てに必要な最低限の育児費や教育費は国が全部面倒を見る 基礎年金の全額税方式化 定率減税の復活 法人税減税 一人当たり三〇〇万円まで非課税の証券マル優制度の創設 政府系ファンドの創設総額21兆円以上という小沢一郎氏なみの規模だ。こういう「積極財政」が「国民を元気にする」という思い込みが何度も語られるが、中川氏はこういう政策がマクロ経済的にどういう波及効果をもたらすか、ご存じなのだろうか。非常に基的なことだが、経済政策の責任者がこの程度の知識もないのは、そ

    fromdusktildawn
    fromdusktildawn 2008/09/25
    バラマキは経団連のクビを絞めるわけだが、経団連にはこの辺の仕組みが分かっている人はいないのかね?
  • 経済学者の公開書簡 - 池田信夫 blog

    不良債権処理策についての122人の経済学者の議会への公開書簡が、シカゴ大学のウェブサイトで発表された:経済学者として、われわれは今回ポールソン財務長官が議会に提案した金融危機への対応策に懸念を示すものである。われわれは現在の危機がきわめて困難なものであることは理解しており、金融システムが機能するためには大胆な行動が必要であることにも合意する。しかし、この案には以下のような深刻な問題がある:公正さ:この案は、納税者の負担で投資家に補助金を出すものである。投資家は利益を得るとともに、損失を負担しなければならない。企業の破綻がシステミック・リスクをもたらすとは限らない。政府は特定の企業を救済するのではなく、金融システムが正常に機能するようつとめるべきである。 曖昧さ:新しく設置される機関の目的も、それを監視するしくみも明確でない。納税者が不良債権を買うなら、買収の条件、理由、方法が事前に明示さ

  • 小沢一郎と大久保利通 - 池田信夫 blog

    小沢一郎氏が民主党の代表に3選された。その所信表明を読んで、おやっと思ったのは「明治以来の官僚を中心とする国の統治機構を根的に改革する」など、統治機構という言葉が3回出てくることだ。「格差是正」や農業保護などのくだらない政策が並んでいるのはこれまで通りだが、その財源が明示されていないという批判に答えて、統治機構を変えることで行政を効率化するというロジックになっている。 それにしても「明治以来の統治機構」という言葉が、政治家から出てきたのは珍しい。こういう観念的な言葉は、選挙向けのスローガンとしては役に立たないが、当ブログでもたびたび書いてきたように、これが日経済の行き詰まっている質的な原因である。バラマキの財源を捻出するために統治機構を変えるというのは逆で、「官僚内閣制」を変えないかぎり、どんな改革も法律として実現できない。 この意味で、高橋洋一氏が新著で書いている公務員制度改革

  • 9月危機の教訓 - 池田信夫 blog

    きょうCSの番組で「9月危機」問題を議論して、ちょっと気になったことがある。みなさんが「投資銀行のネズミ講ビジネスが破綻した」と批判するのはその通りなのだが、「デリバティブなんて無意味だ」とか「銀行や保険は業だけやれ」となると、ちょっと待ってほしい。 派生証券がゼロサムゲームで、刑法185条の賭博罪にあたるのではないかという議論は、日にオプションを導入するときもあった。しかし株式が競輪や競馬と同じではないように、派生証券は人々の所得を移転するだけではなく、リスクを効率的に配分することによって価値を創造するのだ。たとえば日の製造業も、輸出するとき為替オプションでリスクをヘッジしている。それがなければ為替差損で利益が吹っ飛ぶような場合も、リスクヘッジできれば貿易が可能になる。 こういう裁定取引は、証券がコモディタイズするにつれて利鞘が縮小し、その小さな鞘でもうけるために大きなレバレッ