チンパンジー用飼育施設の設備工事をめぐり、京都大霊長類研究所(愛知県犬山市)で発覚した総額11億円超に上る巨額の研究費不正。名門研究所を揺るがした一連の問題は、関与したチンパンジー研究の第一人者で元所長の松沢哲郎氏(70)=懲戒解雇=ら計6人が懲戒処分される形で一区切りを迎えた。霊長類研究の世界的権威らが不正に手を染めた背景には、特殊な研究環境ゆえの理由があったようだ。(桑村大) 11億円超の研究費不正 愛知県犬山市の閑静な住宅街にある霊長研。敷地内にはサルの鳴き声が響き渡り、道なりに進んだ先には、高さ16メートルの巨大な檻(おり、ケージ)が姿を現す。これが、今回の不正支出の舞台となった飼育施設だ。 京大や会計検査院は、松沢氏ら教員4人が、飼育施設整備をめぐり、見積書を作成した業者を入札に参加させた入札妨害や、架空取引などで不正経理があったと公表。総額は約11億3千万円にも上った。 霊長研