2009年8月末、光文社より『日本「半導体」敗戦』という書籍を出版した。自分で言うのもおこがましいが、極めて大きな反響があった。実際に起きたことを列挙してみる。 (1)全く面識のない数十人の読者の方から、メールで感想などのお便りをいただいた。 拙著には、メールアドレスやホームページのURLを記載していない(記載したくなかったのではなく、編集者が忘れたためである)。にもかかわらず、読者の方がわざわざ検索して連絡をくれたようだ。そして、多くの方から、「共感した」「驚いた」「面白かった」というお褒めの言葉をいただいた。 (2)出版関係者の話によれば、「半導体と名のつく本は売れない」らしい。そのため、光文社に採択されるまで、半年ほど出版社を回ったが、どこからも断られた。しかし、光文社から出版後、わずか3カ月間で、3刷り目の増刷となった。 出版関係者の話によれば、ベストセラー作家ならいざ知らず、無名
韓国南部・釜山市の室内射撃場火災。日本人観光客がゲームセンター感覚で射撃を体験する一方で、日本の暴力団員らが、射撃練習のために韓国の射撃場を利用している実態が、射撃場関係者らの話で明らかになった。 韓国の聯合ニュースが、釜山の警察関係者の話として伝えたところによれば、昨年9月中旬、日本の暴力団組員60人余りが2泊3日の日程で大挙して釜山を訪問し、地元警察を緊張させたことがあるという。この警察関係者は「射撃場で1人当り20余発ずつ実弾を撃っていた」と話した。 さらに警察関係者は「今年に入って、日本の暴力団が大挙して釜山を訪問したケースはない」としながらも、「暴力団員が1、2人ずつ観光客として入国し、射撃場に行くケースはかなりある」と明らかにした。 釜山市内には、今回火災のあった射撃場と同様の民間射撃場が約10カ所にあり、日本人を主な客にして商売を営んでいる。 韓国ではソウル市内にも繁
アジアの製造業が日本の製造業を急速にキャッチアップしつつある。2000年代に入ってから急成長を示した韓国や台湾の液晶パネル産業は、その典型である。投資規模だけではなく、技術的にも日本を追い越したように見える。 第3世代までは日本が先行して、それに韓国企業が追随する構図であった。しかし、2002年に立ち上がった第5世代液晶パネルでは、韓国企業が先行し、その後も第5世代工場に投資した日本企業は皆無であった(注:世代が新しくなるほど、製造する液晶パネルが大きくなっていく)。 その韓国企業に追随したのが台湾企業であった。1990年代末に日本企業からの第3世代の技術導入で立ち上がった台湾企業は、2003年から第5世代工場を立ち上げることによって、液晶パネル産業での地位を確固たるものにした。2004~2005年の液晶パネルの世界の生産能力の半分以上を第5世代工場が占めるようになった。 しかしながら、製
今年9月、そして10月と当コラムで、日本企業の地盤沈下が進行し、海外機関投資家の間でジャパン・パッシング現象が顕在化していることに触れた。 今回は、取材で旅回りが多い筆者が身近に感じた事象を紹介しつつ、世界市場を席巻してきたクルマや電器製品など、日本のお家芸とも言える製品群の先行きを大胆に占ってみたい。デフレ経済が進行する中、日本製品に生き残りの道はあるのか。 ジワリ浸透、新興国の割安製品 まず、本稿のキモとなるキーワードをご紹介したい。1つ目のキーワードは、「ビジネスホテル」。そして2つ目は「レンタカー・タクシー」である。 筆者は現在、東北を舞台にしたミステリーのシリーズを執筆中だ。このため、2~3カ月に1度の割合で東北全域を飛び回っている。その際、頻繁に利用するのがビジネスホテルだ。 最近は主要ターミナル駅、あるいは高速道路のインターチェンジ付近に全国チェーンのホテルが多数進出し、1泊
“ハイテクニッポン”の最後の砦は今…無敵神話もついに崩壊!? 素材各社の模索(1) - 09/11/05 | 08:15 ボルネオ島北部、マレーシア・サラワク州の工業団地に、森林を切り開いて造成した200平方メートルの草地が広がっている。“ジミケン”企業、トクヤマがここで乾坤一擲の賭けに挑もうとしている。ジミケンとは、山口県徳山製造所を一大拠点に「地味で堅実」に事業を営んできたトクヤマの代名詞。 トクヤマは、半導体集積回路や太陽電池セルの原料となる多結晶シリコンを供給する国内最大手メーカーだ。多結晶シリコンは、高純度の品質を求められるハイテク素材の筆頭格。昨年の世界同時不況下でも需給が締まり、同製品は利益率50%超という驚異の収益力を誇っている。その同社が8月、マレーシアで2013年春に多結晶シリコンの商業運転を開始すると発表した。まずは現在比42%増まで能力増強を図るという。 大規模
アジア地域で毎年開催される首脳会議が、出席者の血を沸き立たせるために用意されることはめったにない。 だが今年は、いまひとつ冴えないコミュニケに覆い隠されているものの、中国と米国が自らの影響力拡大を目指した争いを繰り広げている。その展開次第では、アジア地域の大部分で、人権や民主主義の面での進歩が妨げられる恐れがある。 問題は、米国とアジアの友好国が、この地域の多国間の枠組みにどの程度直接的に参加できるか、である。アジアにはそうした枠組みがいくつもあるが、本当に重要なのは2つだけだ。 1つは、10カ国が参加する東南アジア諸国連合(ASEAN)である。ASEANは中国、日本、韓国を加えたサミット(いわゆるASEAN+3)や、そこにインド、オーストラリア、ニュージーランドを加えた計16カ国の東アジアサミットを毎年開催している。 もう1つは、アジア太平洋経済協力会議(APEC)だ。こちらは20の国と
世界的な景気悪化が直撃し、造船の新規受注がぱたりと止まった。2003年からの造船バブルによって、生産能力を一挙に拡大した韓国と中国に対して、世界2位である日本の造船産業は表面的には焦ってはいない。とりあえず2012年末までの受注残があるためだ。 ただ、来年にも世界の生産能力は平均的な年間需要の3倍に達する見通しであり、かつてない「“超”過剰供給時代」が迫っている。韓国では早くも「造船不況は10年続く」という悲観的な見方まで出ている。泥沼の造船三国志をどこが勝ち抜くのか。 世界最大手である韓国の造船産業がかつてない危機に直面している。 現代重工業や三星重工業など大手各社が2003年からの造船大ブームで生産能力を一挙に2倍以上に引き上げたが、それが裏目に出そうな雲行きになってきた。あまりにも巨大化した生産能力を埋め合わせる受注がとれず、焦りが最高潮に達しつつある。 新規受注は、1年間も“消滅”
Asian banks intervene to prop up weak dollar (アジア諸国の中央銀行、ドル支援介入) By Angela Monaghan Telegraph:08 Oct 2009Asian central banks moved to prop up the dollar yesterday as they sought to limit the damage that the currency's weakness could cause to their export industries. 昨日、ドル安が輸出産業にもたらすダメージを限定しようとする中、アジア諸国の中央銀行はドル支援に動いた。 Traders said central banks in Hong Kong, Taiwan, South Korea, the Philippines and
(英エコノミスト誌 2009年10月3日号) 世界で一番元気のいい国々の通貨が最も過小評価されている。 世界の経済大国の指導者たちは先月ピッツバーグで開かれたG20首脳会議で、金融危機を悪化させたような世界経済の不均衡の防止に取り組むことで合意した。だが、言うだけなら簡単だ。主要国の有力者たちが為替レートについて議論しなかったことを考えると、なおのことである。 今日の世界経済における最大の矛盾の1つは、アジアの新興経済が他のどの地域よりも急速な回復を示してきた(こうした国々と先進諸国の平均成長率の差は今年、過去最高に達する可能性が高い)にもかかわらず、多くのアジア新興国の通貨が実質実効為替レートで見て、2008年から下落してきたことだ。 過小評価されているアジアの通貨 様々な基準で見ても――本誌(英エコノミスト)のビッグマック指数からより洗練された基準まで――、アジア諸国の通貨は
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 世界経済が深刻な不況に陥った2008年秋以降、アジア経済も急速な成長減速を経験しました。しかし、いまや中国やインドなど多くのアジア新興市場国がV字型の回復を示し、アジアが世界経済の回復をリードする形になっています。 その結果、一時は影を潜めていた「デカップル論」が復活し、アジア経済は世界経済が不況に陥ったままでも成長が続けられるような楽観論が出てきました。 しかし、現在のアジアの急速な回復は財政金融の超緩和によってもたらされたものであり、持続可能なものかどうかは十分な検証を必要とします。また、中長期的に見て欧米への大幅な輸出超過によって高成長を続けることはできないとすれば、アジアは構造的に域内需要を増加させる必要があるでしょう。 アジア開発銀
アジアの新興経済圏の回復力を甘く見ない方がいい。1997~98年のアジア金融危機の後、そして2001年のドットコム・バブル崩壊の後、第三者はアジアの景気低迷が長引くと予想した。ところが、アジアの虎たちはすぐに蘇った。 2009年に入ってからの論調は、これほど輸出に依存したアジア経済は、先進国の顧客が元気を取り戻すまでは復活できないというものだった。 西側では、今年第2四半期も経済が縮小した国が多く、依然低迷しているように見える。また、たとえ米国が今年下半期にプラス成長に転じても、個人消費は弱々しいままだろう。 それでも、西側の消費動向からのデカップリング(非連動)が進むアジアの経済は、急成長しているのだ。 第2四半期のGDP(国内総生産)を発表したアジアの4つの新興国(中国、インドネシア、韓国、シンガポール)は、平均で年率換算10%以上の成長を記録している。より豊かで、経済の低迷が
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